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1 遠野の農業と林業
農業のあらまし
遠野市は、北上高地にあり周囲を山々に囲まれた盆地で、その大部分は森林で占められている。水田や畑など耕地として使われる土地は、10%に満たない。気候は、県内でも寒冷地域に属していて、盆地特有の一日の気温差、夏と冬の寒暖の差が大きく、特に冬の寒さは厳しい。
このような条件のもと、遠野では古くから稲作を中心にした農業が行われてきた。しかし、しばしば冷害におそわれ凶作となることも多かった。遠野の農業は、冷害とのたたかいであったといえる。現在は、稲作を中心としながらも、肉用牛・乳用牛などの畜産や、たばこ・ホップなどの工芸作物、ほうれんそう、だいこんなどの野菜栽培など多様な農業が行われている。
しかし、今日の農業を取り巻く環境は非常に厳しいものとなっている。特に近年の社会・経済の変化により、農業は兼業化並びに高齢化が急速に進み、農業労働力の不足や後継者不足が深刻化している。また、農作物の輸入自由化による価格の下落も農家を圧迫している。
このような状況の中で、遠野では様々な工夫や努力をしながら地域の特色を生かした農業が行われている。 |
土地利用の割合
平成17年1月現在 旧遠野市・宮守村概要調書数値の合計
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土地利用マップ(旧遠野市)
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農家の現状
1960(昭和35)年ごろまで耕地の開発が行われ、農家戸数は増えていった。しかし、その後は、第2次産業や第3次産業への転業が増え、2000(平成12)年には、3,984戸に減っている。 |
また、農業種別では、自給的農家が増加し、販売農家農家をみても、専業農家が減少し、兼業農家が増加している。特に第2種兼業農家の増加は著しく、その割合は全農家の70%を越えている。
農家戸数の減少にともない、農業就業人口も減少してきており、2000(平成12)年には、5,679人(販売農家)になっている。これを男女別の構成比でみると、男性が41%、女性59%で、農業における女性労働力の重要性を再認識する結果となっている。 |
遠野市の農家数の推移(農業センサス他)
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また、年齢別でみると、30歳以下の人口が極端に少なく、50歳以上の人口が多い。特に60歳以上の構成比は、70%(平成12年)となっており、農業の高齢化を顕著に表している。 |
平成12年農業従事人口(販売農家)
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農業生産
農業生産額をみると、全体としてここ数年で年々減少傾向にあり、厳しい現状がみられる。うちわけをみると、最も多いのは米で、ついで肉用牛、工芸作物、牛乳、野菜の順となっている。
1965(昭和40)年と比較すると米の割合が減り、畜産(肉用牛・乳用牛など)・野菜の割合が大きく伸びていることがわかる。
しだいに、生産物が多様化し、商品性の高い作物を生産する農業にかわってきていることがわかる。 |
農業生産のうちわけ(岩手農林水産統計年表)
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稲作
市内で生産されている最大の農産物は米であり、農業生産額の31.7%(平成16年)を占めている。
遠野では、昭和に入ると開田が進み、米づくりが盛んになり作付面積も増えてきた。しかし、1971(昭和46)年以降は生産調整が行われ、少しずつ減ってきている。生産量は、冷害などで多少の差があるが、全体として伸びてきている。これは、冷害に強い品種や収量の多い品種がつくられ、さらに、農業技術が進歩したことによるものである。 |
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2004(平成16)年でみると、2,228haの作付けで、12,250t(新遠野市)の収穫量となっている。その多くが、関西方面へ出荷されている。
現在、資産調整により毎年転作が行われており、飼料作物や大豆などがおもに栽培されている。 |
水田
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米の生産量の推移(旧遠野市)
(農作物統計)
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畑作
むかしから代表的な畑作物であった麦・ひえ・あわ・豆などの雑穀類は、食料や家畜の飼料を自給する目的でつくられてきた。しかし、食生活や農業のしかたの変化などによって、1955(昭和30)年ごろを境にして作付面積が減少してきた。
それにかわって、ほうれんそう・だいこん・レタスなどの野菜やりんごなどの果物、そして葉たばこやホップなどの工芸作物が多く栽培されるようになってきた。また、家畜に与える飼料作物の作付面積の伸びも大きい。
最近では、トルコギキョウ・りんどうなどの花きの生産も拡大している。 |
○野菜
広大で標高差のある土地と寒暖の差の大きい気象条件を生かして、ほうれんそう・だいこん・レタス・ピーマン・きゅうりなどの栽培が盛んに行われている。
野菜は、ハウス栽培など収量や品質を高める工夫がされている。また、交通条件や集出荷施設が整備されるにしたがって、関東方面への出荷も増え、その評価も高まっている。
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2000(平成12)年
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作付面積(ha) |
収穫量(t) |
| ほうれんそう |
95 |
502 |
| だいこん |
38 |
819 |
| レタス |
41 |
891 |
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○果樹
りんごを中心に栽培が行われている。栽培面積は52haで、800t(平成16年)を出荷している。主な品種は、ふじ(18ha)、ジョナゴールド(7ha)つがる(6ha)などである。
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りんご
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○工芸作物
ホップは遠野の気候に適し、日本一の生産量をあげている。また、葉たばこも県内有数の産地であり、農業生産額でも、米・肉用牛・生乳についで4位となっている。 |
ホップ |
2005(平成17)年
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作付面積(ha) |
収穫量(t) |
| ホップ |
51 |
77 |
| 葉タバコ |
108 |
247 |
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○花き
トルコギキョウを主力品種として、りんどうがそれに続く。どちらも市場から高い評価を得ており、さらに生産拡大と品質向上に努めている。
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トルコギキョウ
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2004(平成16)年
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作付面積(a) |
農家戸数(戸) |
| トルコギキョウ |
51 |
77 |
| りんどう |
108 |
247 |
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畜産
昭和20年代まで、遠野市の畜産の中心は馬であった。気か上高地の広大な平原は、南部駒の放牧地として適していた。農機具の発達にともない、農耕馬としての需要が少なくなるにつれて急激に減少した。
馬にかわって畜産の中心となっていったのが牛である。頭数は年々増え続けてきた。現在では、肉用牛、乳用牛あわせて約12,500頭(平成16年)で畜産の主流となっている。 |
畜産は、農業粗生産額の中で、32%を占め米に次ぐ基幹産業となっている。しかし、高齢化や担い手不足から、飼育頭数は減少傾向にある。また、乳製品の自由化や輸入肉の拡大などの問題もあって、畜産農家をとりまく現状に厳しいものがある。
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牛の放牧
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家畜の飼育戸数の推移(旧遠野市)
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○肉用牛
黒毛和種が大部分を占め、日本短角牛と合わせて7,042頭(平成16年)が飼育されている。 |
○乳用牛
以前に比べ、飼育戸数、飼育頭数ともに減少している。現在、91戸で2,270頭(平成16年)が飼育されている。
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○馬
現在、67戸で218頭(平成16年)と以前に比べ減ってきている。平成10年4月にオープンした「遠野馬の里」を活用するとともに、馬を中心とする各種イベントの開催を通じて、馬に根ざした新しい地域づくりを展開している。
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遠野馬の里
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○豚
飼育戸数は少ないが、約3,700頭の豚(平成16年)が飼育され、生産額は全体の4.0%だが、5位となっている。 |
畜産施設のようす
遠野の恵まれた産地を有効に活用するために、県や市、農協(JA)では大規模な草地の開発事業を行った。
夏は牧場に放牧し、冬は畜舎で飼育する夏山冬里方式がとられていて、飼料の自給率を高め、生産費を下げるための努力をしている。 |
淡水魚
遠野において、恵まれた支流を活用した内水面漁業は、まだまだ可能性を持った分野といえる。
昭和56年に組合を設立し、ヤマメを中心にイワナ、ニジマスなどの養殖が盛んである。ヤマメの生産量は日本一を誇る。
平成11年度に整備された遠野市淡水魚種苗中間育成センターを拠点にして、積極的に安定産地をめざしている。 |
ヤマメの養殖
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出荷量と生産額 2004(平成16年)
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ヤマメ |
イワナ |
ニジマス |
計 |
| 出荷量 |
29.5t |
8.0t |
1.4t |
38.9t |
| 生産額 |
26,496千円 |
7,479千円 |
1,095千円 |
35,070千円 |
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林業の資源状況
遠野市の森林は、標高300m以上のところに分布し、森林面積は約68,547haで総面積の約83%を占め、県内有数の森林、林業地帯をなっている。そのうち国有林が約43.2%であり、、岩手県の国有林の占める割合約34%よりも高い比率である。
天然林には、アカマツ・コナラ・ミズナラ・ブナ・クリ・その他の広葉樹が自生しているが、人工林には主に、スギ・アカマツ・カラマツの針葉樹が植林されている。
森林の蓄積量は、広葉樹よりも針葉樹が多いが、人工林の大部分は、35年から50年経過した成熟した森林が多い。
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遠野市の森林の特徴
国有林と民有林(岩手県林業動向年報)
人工林と天然林(世界林業センサス)
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生産状況
豊かな森林資源を持つ遠野だが、そこから産出される木材の多くは、原木や製材品といった一次加工品で、50%は地域外に取引されている。
しかし、木材の需要の低下や林業経営費の増加などから、林業をとりまく状況には厳しいものがある。そのため、遠野市では、早くから「トオノピアプラン」に基づく多様な木材関連事業が進められてきた。その中で生まれたのが「遠野地域木材総合供給モデル基地」である。
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遠野地域木材総合供給モデル基地 |

木造教育施設(青笹小学校) |
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