令和5年度 卒業証書授与式

 令和6年3月16日(土)に、遠野市立遠野小学校と花巻清風支援学校遠野分教室の卒業証書授与式を行いました。6年生は中学校の制服や振り袖で出席し、大人びたように見えました。卒業生は小学校の思い出を振り返り、先生や在校生、保護者の方々へ感謝の言葉を伝えました。卒業する皆さん、中学校という新たなステージでのさらなる活躍を期待しています。

 

式辞

 陽射しが柔らかく感じられるようになり、春がもうそこまで訪れていることを告げています。春の予感が感じられる今日の佳き日、遠野市教育委員会教育長・佐々木一人様をはじめ多数のご来賓の皆様のご臨席を賜り、令和5年度遠野市立遠野小学校並びに岩手県立花巻清風支援学校遠野分教室小学部の卒業証書授与式を執り行うことができますことに、衷心より御礼申し上げます。
 卒業生の皆さん、皆さんの卒業を心からお祝いいたします。真新しいランドセルを背負い、目を輝かせて入学してもう6年。その胸には抱えきれないほどの思い出が詰まっていることでしょう。学校生活において、活動制限があったり、周年の節目を迎える行事があったりと、卒業生にとっても保護者の皆様にとりましても、殊の外、心に深く刻まれる小学校生活であったと思います。
 思い起こせば、皆さんの活躍には目を見張るものがありました。春の運動会、渾身の力を込めての応援合戦。団長が中心となり、校庭で素顔のまま、青空に向かって思いっきり声を出しての応援は見応えがありました。2人の団長のひたむきな姿に胸が熱くなりました。また水泳記録会でも陸上記録会でもリレー競技では、男女ともに第1位という圧巻の成績を残しました。
 校内生活では、入学して間もなく心細い思いで登校する1年生を昇降口で迎え、朝の準備を見守ってくれたり、仲良し遠足では、一緒に遊んであげたりなど面倒見のよい、お兄さんお姉さんでした。
 そして皆さんがそうであるように私にとっても1番の思い出は、修学旅行です。分教室の友だちとも一緒に思い出作りができました。舟下りで魚にエサをあげる無邪気な笑顔、周りが心配するほど、お椀を積み重ねたわんこそば体験、家族へのおみやげ選びに悩んだり楽しんだり………何よりも、2日間とも、あいにくの雨にも関わらず、自分達から楽しもう、思い出を作ろうとする姿に感心しました。誰もが晴天を願っていたはずなのに気持ちをくさらせず、ぼやくこともなく、変えることはできない現実をしっかりと受け止め、それでも前に進もうとする姿勢は、人生の壁に立ち向かう姿そのものであると感じたのです。これから歩む道には、楽しいことばかりではなく、苦しいこと、投げ出したいこと、つらいこと、そのような壁にぶつかることがあるでしょう。けれども皆さんには、それを乗り越える力がある、そう確信しました。

 もう1つ忘れられないことは、創立150周年式典に参加した皆さんの姿です。とても凜々しく、遠野小の歴史はしっかりと自分達がつないでいくという決意が感じられました。
 学校の歴史を紐解く学習を通して先輩達の想いをかみしめ、歴史のバトンは、自分達の手にあることを深く自覚していたからだと思います。
 また、「遠野の里の物語」の記念公演では、かつての娘役や、おとう役、本校にゆかりのある方々が見つめる中伝統文化は脈脈と受け継がれ、宝としてゆるぎないものであることを示してくれました。きっと多くの先輩たちが伝統を守ってくれていることに安心し喜んだことでしょう。皆さんが真剣にただひたむきに取り組んだからこそです。
 心を1つにして伝統をつないだこと、151年目の確かな足跡を残したことに誇りをもってください。そしてそのことが皆さん自身の歴史のひとこまとして刻まれたことは、私にとっても大きな喜びです。  

 最後になりましたが、保護者の皆様、お子様のご卒業おめでとうございます。職員一同心よりお祝いを申し上げます。何よりも健やかな成長を願い、大切に育まれてきたことと思います。あどけなかった笑顔が、こんなにも頼もしくなり、その成長した姿をご覧になり、感慨もひとしおと存じます。今日の晴れの姿は、これまで注いできた、ご家族の皆様の愛情があればこそ。これから進む道にも、笑いや涙することが待ち受けているとは思いますが、一緒に成長を楽しみながら 歩まれていくことを願います。

卒業生の皆さん、旅立ちの門出に贐として好きな言葉「一秒の言葉」を贈ります。

    1秒の言葉
「はじめまして」この1秒ほどの短い言葉に
一生のときめきを感ずることがある。
「ありがとう」この1秒ほどの短い言葉に
人のやさしさを知ることがある。
「がんばって」この1秒ほどの短い言葉で
勇気がよみがえってくることがある。
「おめでとう」この1秒ほどの短い言葉で
しあわせにあふれることがある。
「ごめんなさい」この1秒ほどの短い言葉に
人の弱さを見ることがある。
「さようなら」この1秒ほどの短い言葉が
一生の別れになることがある。 1秒に喜び、1秒に泣く、一生懸命、1秒
人と人の出会いはすばらしい。

 多くの人との出会いが皆さんを育み、支えてくれています。

卒業生の皆さんが伝統・誇り・感謝を胸に、未来に大きくはばたき、夢に向かって道を切り拓いていくことを祈念して、式辞といたします。

                                               令和6年3月16日
                                                   遠野市立遠野小学校
                                                    校長 佐々木 美紀

2024年03月26日