2020年9月30日放送

旧三田屋ありがとうの会

来年の夏「こども本の森遠野」として生まれ変わる中央通りの旧三田屋で、先週土曜日(26日)、引っ越し作業が行われたあと、ありがとうの会が開かれました。かつて呉服屋だった中央通りの三田屋は、数少ない明治期の町家の形式を保っている築およそ120年の建物で、店主が居住していた当時から地域の集会施設的な場として、また、四季折々のイベント事業の会場として広く利用されてきました。遠野町家の暮らしや生業が分かるように再現できる物件は旧三田屋以外は残っておらず、歴史的価値が高いことから、旧三田屋は、世界的建築家・安藤忠雄さんから提案を受けた子ども向けの本の施設「こども本の森遠野」として生まれ変わることになりました。先週土曜日は、引っ越し作業が行われ、遠野町第5区自治会や一日市商店街、市職員などおよそ40人が感謝の気持ちを込めながら、母屋や土蔵などに置いてあった物品を手際よく運び出していました。引っ越し作業が無事に終わったあと、旧三田屋ありがとうの会が開かれました。はじめに本田市長が、「遠野物語は、柳田國男と佐々木喜善が出会ったからこそ生まれた名著で、遠野物語110周年の記念の年に安藤先生と巡り会ったこと。また、来年オリンピック・パラリンピックが開かれ、インバウンドの流れが戻ってくる時に、世界的にも発信できるような拠点がここに出来るという巡り合わせに運命的なものを感じます」と期待を込めていました。そして「安藤先生の思いが凝縮されたプロジェクトが、この旧三田屋の中に再び火を灯すことになります。皆さんの更なるご支援とご理解をいただければ」と集まった地域の人たちのこれまでの支援にも感謝していました。続いて、遠野町第5区自治会長で、一日市商店街理事長の松田克之さんが「これから、市だけではなく、商店街、自治会も協力し、こども本の森遠野を発展させていきたい」と決意を述べていました。そのあとのスピーチでは、集まった人たちが涙ぐみながら心にたくさん詰まった思い出を披露する姿も見られ、旧三田屋が果たしてきた地域をつなぐ役割に感謝していました。そして、こどもたちの想像力を育み、沿岸被災地と遠野をつなぐ文化復興拠点として、そして、これまでのようにたくさんの人が集う場所として生まれ変わる旧三田屋の未来に期待を寄せていました。

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