2020年5月29日放送

遠野市総合教育会議

今年度初めてとなる遠野市総合教育会議が、おととい(27日・水曜日)市役所本庁舎で開かれました。この総合教育会議は、市長・教育長・教育委員で構成され、他の部署との協力連携が必要、予算措置が必要となる案件などについて協議・調整を行う場です。おとといの会議では、窓を開け換気をするなど、新型コロナウイルス感染予防対策がとられる中、本田市長や菊池教育長、4人の教育委員、市の幹部職員が出席しました。はじめに、県立高校再編計画に係るこれまでの取組について報告がありました。岩手県教育委員会が策定する県立高校再編計画において統合を延期している遠野高校と緑峰高校については、令和2年度の入試状況等により統合時期などについて判断される予定になっています。続いて「GIGAスクール整備事業」「こども本の森構想」「児童の放課後の居場所」の3つのテーマについて協議されました。GIGAスクール構想とは、児童生徒に一人一台端末環境を整備し、ICTを活用した授業を導入することで、児童生徒の情報活用能力などを育成する取り組みです。1人1台端末の最大のメリットは、鉛筆やノートと同様に文房具として授業で適切に活用することで、子ども一人ひとりの学習履歴が端末に記録され、各自の理解・習熟に応じた課題に取り組めるなど、個別最適化された学習を提供することが可能となることです。また、教師が事前に資料を印刷する準備が不用といった働き方改革にも効果があると考えられています。ICTを活用した学習では「遠野テレビの大容量通信ネットワークを活用し他校との交流授業を行うなど新たな学習方法を提供」「端末を活用した授業改善により児童生徒の主体性を育む」「児童生徒の学びを個別最適化しすべての児童生徒の学力向上を図る」としています。ICTを活用した授業改善・学習習慣の形成による確かな学力の育成を図る「デジタル」、こども本の森構想と連携した読書活動の充実による豊かな心の育成を図る「アナログ」を融合させる、令和時代の「遠野スタイルによる児童生徒の学び」の構想により、10年後・20年後のふるさと遠野や日本・世界に貢献する人材の育成を図るとしています。市では、6月に開催される市議会に整備に係る補正予算を計上し、今年度中の使用開始を目指すということです。教育委員からは「次の世代を見据えた教育に整備は必要」「アナログ部分の学習とデジタルの学習のバランスをしっかりとり、一人一人と向き合って活用していくことが大切なのではないか」さらに「うまくシステムを活用した授業が軌道にのるまでは、支援してくれる人が必要」「情報端末を長時間使用することで学力が落ちるというデータもある。より効率的な授業をすることで、学力向上に繋げていくことも大切」などの意見が出されていました。また、こども本の森構想、児童の放課後の居場所についても、協議されました。こども本の森構想は、世界的建築家・安藤忠雄さんが提唱する「東北復興のシンボルは子どもたちの未来である」という想いを形にするため、子ども向けの本の施設整備に向け準備が進められています。おとといの会議では「市内すべての小学校からの利用を促進する上で、どのような方法があるか」「学校単位で活用する上で、親子でどのような活用ができるか」について、意見が交わされていました。教育委員からは、「遠野には美術館がないので、美術館を兼ねるような発想もあってもいいと思う」「遠野出身の活躍されている先輩方の思い出の本展示コーナーを作ってほしい」といった意見・要望が出されていました。さらに「読書感想文に親子で取り組む。また、表彰する制度があると、施設に集まる機会が増えるのでは」「PASSをもらって子ども同士で行けるシステムがあってもいいのでは」「ITと連動させ、行きたくなるような映像を見せるなど動機付けを図る」「遠足・総合学習の授業で行くのもいいと思う」などのさまざまなアイデアが出されていました。この日は、ほかに児童の放課後の居場所についても協議されました。遠野市では、放課後の子どもの居場所づくり、家庭学習の習慣化への支援を目的に平成19年度から「放課後子ども教室」が実施されてきました。ことし2月に「遠野市学校・家庭・地域の連携による子どもの学び推進委員会」を開催し、家庭学習の習慣化について一定の成果が見られたなどの評価を得たということです。この委員会の評価により、総合的に判断して、今年度以降の放課後子ども教室を廃止することが決まりました。教育委員からは、「スケジュールを自分で決める子が増え、成果がでたと思う」「放課後の居場所については、児童館・児童クラブが役割を担ってくれている」「GIGAスクール構想をうまく使った新たな学力向上の取り組みがこれからでてくると思う」といった意見が出されていました。市では、この日出た意見を課題解決に繋げ、今後の施策に反映させるよう努めていくとしています。

Copyright(C) TonoCableTelevision. All rights reserved.