2018年3月22日放送

ニホンジカ捕獲応援隊員育成講習会・鳥獣被害対策研修会

ニホンジカ捕獲応援隊員育成講習会と鳥獣被害対策研修会がおととい(20日・火曜日)、市役所本庁舎で開かれました。近ごろ遠野市では、新たな鳥獣の目撃や糞(ふん)の発見など、ニホンジカ、ツキノワグマ以外の鳥獣による被害の発生が心配される状況となっています。この講習会と研修会は、野生鳥獣の生態や被害対策を学ぶことで、農作物(ぶつ)の被害軽減に繋げていこうと遠野市が開き、遠野市鳥獣被害対策実施隊員や市内の農家など、およそ80人が参加しました。この日は初めにニホンジカ捕獲応援隊員育成講習会が開かれました。ニホンジカ捕獲応援隊は、狩猟(しゅりょう)免許を持たない人でも市が主催する講習会を受講することで、猟友会(りょうゆうかい)を中心とした遠野市鳥獣被害対策実施隊の指導監督の下、わなの見回りや管理などの補助的な活動を行うことができます。講習会では、県と市の担当職員から昨年度・平成28年度の鳥獣による被害状況や、ニホンジカ捕獲応援隊についての説明がありました。それによりますと、昨年度の岩手県の農作物被害総額は、およそ3億9800万円で、この内、遠野市の被害総額は、およそ9674万円になったということです。また、市内の農業者などで組織するニホンジカ捕獲応援隊の活動についてでは、平成24年度に332頭だった有害捕獲頭数が平成29年度には1264頭とおよそ4倍まで増加。その成果として、農林水産省が実施している今年度の鳥獣被害対策優良表彰を受賞したことなどが報告されました。また、講習会では、鳥獣被害対策実施隊の隊員を講師に、ニホンジカなどを捕獲するくくりわなの仕組みや設置方法の実技も行われ、参加者たちは、安全に配慮しながら真剣な表情で学んでいました。この後開かれた鳥獣被害対策研修会では、講師として招かれた埼玉県農業技術研究センターの古谷益朗さんが「野生鳥獣による農作物被害に対する効果的な防止対策について」と題し講演をしました。古谷さんは、ニホンジカやハクビシンなど野生鳥獣の習性について映像を見せながら説明し、その中でも近ごろ、県内で目撃されてきているイノシシの生態についても触れていました。また、野生鳥獣から農作物を守るための有効な手立てとして電気柵の活用をあげ、設置をする時の注意点も話していました。終わりに古谷さんは、「野生鳥獣の被害を防ぐためには、人の力が重要です。一人一人が意識を高め、正しい情報を共有しながら地域全体で立ち向かう体制が整えば必ず結果は出ます」と参加者たちを激励していました。この日、古谷さんの講演を聞いた参加者たちは、これから本格的に始まる農作業に向けて、野生鳥獣から農作物を守るための意識を高めた様子でした。

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