2016年7月15日放送

遠野の学力向上に向けて 教育事務所の取り組み

遠野市教育委員会の中に組織されている教育研究所。学力向上に向け、どのように取り組んでいるか取材しました。遠野の教育課題の一つとされている「学力向上」。昨年度、小学6年生と中学3年生を対象に文部科学省が実施した全国学力・学習状況調査の結果によりますと、小学校と中学校の国語・理科は概ね全国平均、小学校の算数と中学校の数学は全国平均を下回る状況ということです。遠野市教育委員会では、10年前、市内の小・中学校の教職員で組織される教育研究所を立ち上げ、平成25年度からは「義務教育9年間を見取る体制の構築」「中学校区ごとに小・中学校の更なる連携の推進」を実現するため、さまざまな学力向上対策事業に取り組んでいます。その1つが遠野中学校区・遠野東中学校区・遠野西中学校区の各中学校区に分かれて毎年開かれている授業交流会です。教育研究所が主催するこの授業交流会は、小・中学校の教職員が連携し、中学校区ごとに設けている2つの視点に基づいて授業を見合い意見交換をすることでよりよい授業づくりにつなげようという取り組みで、5月から6月にかけて市内の小中学校で開かれました。遠野東中学校区の授業交流会では、東中学校区にある小・中学校の教職員などが土淵小学校の3年生の社会と6年生の算数の授業を参観しました。授業のあとの分科会では「中学校での学習にスムーズにつなげるために小学校での学習はどうあるべきか」などについて意見交換が行われ、小・中学校の教職員が校区の2つの視点を意識し、学力向上に向けた授業づくりをしていくことが確認できたということです。遠野西中学校区の授業交流会では、小友小学校5年生の算数と西中学校1年生の国語の参観が行われました。授業のあとの全体会では「子どもたちが主体的に学習に向かうことができるようにするにはどのようなグループ学習が効果的か」などについて意見が交わされました。授業中に子どもたち同士が話し合う場面では「なぜそう考えたのか」など根拠について考え、子どもたち同士で交流させることで「自分の考えをもち、しっかりと伝える児童・生徒」になるよう、日常的に2つの視点について取り組んでいくということです。遠野中学校区の授業交流会で、教職員たちは遠野中学校の1年生の英語・社会・数学と2年生の国語を参観しました。分科会は、ワークショップ形式で行ったことで小・中学校の教職員が一体となって協議でき、授業の終わり部分での振り返りを大事にしながら授業実績を積み重ねることで、児童・生徒の学力向上を図っていくことが確認できたということです。また、市内2校の高校の先生も参加した授業交流会もあり、小中高の連携を図っていく見通しも持つことができたということです。教育研究所では、今回の授業交流会で小・中学校連携のさらなる強化が感じられたということで、今後も小・中学校の連携をさらにバックアップしながら、教職員1人1人が日々の授業で各校区の2つの視点について意識し、子どもたちが達成感を味わえるような授業づくりに力を入れていくということです。この授業交流会は、年度内に2回開かれることになっていて、ことし9月から11月に予定されている2回目ではこれまでの成果や課題などについて確認されるということです。このほか、教育研究所の学力向上に向けた取り組みでは、昨年度、小・中学校連携の取り組みを先進的に進めている秋田県の東成瀬(ひがしなるせ)小学校・中学校を視察。また、具体的な指導や支援に努めることで教員の指導力を向上させるための「学校教育専門員」を設置。さらに、今年度新たに数学学習支援員を中学校に派遣する「特定教科集中対策事業」を立ち上げ、遠野の子どもたちの学力向上に向けた取り組みを積極的に進めています。ことし4月で創立から10年を迎えた教育研究所。目指すこれからの遠野の教育・そして子どもたちの姿とは。遠野市の学校教育目標である「知・徳・体のバランスのとれた人間形成」を目指して、これからの10年も児童・生徒の「生きる力」を育むため教育研究所のさらなる取り組みは続きます。

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