2015年8月6日放送

広島に原爆投下から70年

広島に原爆が投下されてから、きょう(6日・木曜日)で70年が経ちました。自身の被爆体験を後世に伝えようと、遠野市内外で活動をしている男性を取材しました。今朝、8時15分。早瀬町の自宅で、静かに手を合わせていたのは、伊藤宣夫さんです。70年前の昭和20年8月6日、午前8時15分。軍隊の通信の仕事をしていた当時17歳の伊藤さんは、爆心地からおよそ4キロ離れた広島市宇品地区で被爆しました。原爆が落とされた瞬間や、その後目の当たりにしたけが人を次々と運んできたトラックや、水を求めて川に飛び込む人々。70年経った今も、これらの記憶は鮮明に残っているといいます。現在、伊藤さんは、岩手県原爆被害者団体協議会の会長を務めていて、被爆体験を広く伝えることで、命の尊さ、平和の大切さについて考えてもらいたいと、講演会を開いたり、パネル展を開催したりと、さまざまな活動を行っています。原爆投下から70年経った今、被爆者のうち生存者も少なくなり、どのように次の世代に語り継いでいくかが課題だと伊藤さんは言います。そこで伊藤さんは、自分たちがいなくなった後でも語り継いでいける物として、紙しばいを作ることを考えました。この伊藤さんの考えに賛同した、絵画サークル「トオヌップ」の後藤正伍さんは、子どもたちにも分かりやすく伝えられるようにと、およそ3カ月をかけて紙しばいを制作し、ついにきのう、70年の節目に合わせて完成しました。この紙しばいは、伊藤さんがこれまでつづってきた体験記を元にしたもので、伊藤さんの被爆体験がありのままに書かれています。伊藤さんは、この紙しばいや講演会を通して、二世の会や、自分たちの思いに賛同してくれる人たちに、自分たちの後を受け継いでいってほしいと願っています。「戦争は二度と起こしてはならない」という思いを胸に、伊藤さんの、次の世代に語り伝える活動は、これからも続きます。

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