2015年2月18日放送

月イチリポート「土淵町の女性 けいらんを継承」

今回は、遠野の伝統料理のひとつ「けいらん」。このふるさとの伝統の味を守り伝えようと、土淵町の女性たちが技を受け継ぎ一緒に作り続けています。あんこが入っただんごをお椀に入れ、ゆで汁を注いだ「けいらん」。小正月や来客のもてなし、また、おやつの時間に出された遠野の郷土料理です。色と形がにわとりの卵に似ていることからこの名がついたと言われています。けいらん作りの技術や伝承活動などが認められ、平成13年に県の「食の匠」に認定された、土淵町の中屋敷恵子さん81歳。食の匠に認定されてから活動の幅を広げ、これまで県内外でけいらんの継承を進めてきました。また、遠野の食をはじめとしたさまざまな文化を伝えたいと地域の子どもたちや民泊で自宅に訪れた人へ継承活動を行っている立花和子さん67歳。立花さんは伝承園に勤めていた時に、職場の先輩だった中屋敷さんから「けいらん」の作り方を教えてもらい、それ以来30年以上作り続けています。中屋敷さんと立花さんは同じ地域に住んでいて、中屋敷さんがここ数年、手の痛みを患ってからはけいらん作りの活動を立花さんに託しています。先輩の中屋敷さんが見守るなか、立花さんにけいらんを作ってもらいました。けいらんの材料は、もち米粉とあんこです。もち米粉は県産のものを使用するなど食材にこだわって作っています。はじめに中に包むあんこを20グラム、一口大の大きさに丸めます。次にもち米粉をボールに入れ、箸でかき混ぜながら熱湯を注ぎます。この時熱湯を粉全体にわたらせよくこねます。耳たぶ位の硬さにすることで、口当たりの良いけいらんに仕上がるということです。そして1個30gの大きさにちぎり、手で丸めながら延ばします。このあと丸めておいたあんこをもち米粉の皮に包んで手のひらを巧みに使って卵形に整形します。最後にお湯を沸かした鍋に、「けいらん」を入れ、最初は強火、その後中火、弱火と火力を調節しながら加熱します。そして「けいらん」が浮いてきたら茹で汁ごとお椀に盛って完成です。中屋敷さんと立花さんは地元の子どもたちへの伝統食継承にも力を入れ、土淵小学校で伝統料理の講習会なども開いてきました。立花さんは次の世代にも伝統の味が続くことを強く願っています。また中屋敷さんも手の状態が良くなれば「けいらん」を作り、これからも遠野ならではの伝統の味を広めていきたいと意気込んでいます。人と人をつなぐ逸品として欠かせない郷土の味を大事に守り続ける中屋敷さんと立花さん。これからも協力し合い、味と技の伝承に全力を注ぎます。

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