2016年3月11日放送

東日本大震災から5年 特集(1)「教訓」

東日本大震災の時には、行政区単位で結成している「自主防災組織」が地域の被害を最小限にしようと尽力し、助け合いました。震災を経て教訓も生まれました。遠野町第13区の自主防災組織の活動と教訓です。平成26年4月に施行された遠野市防災基本条例。「防災対策は、自己責任により自らを守る自助、地域において相互に助け合う共助、市及び関係機関が講ずる公助を基本として、市と市民等が相互に連携して実施されなければならない」と定められています。「共助」を担うものとして期待されるのが行政区単位で結成されている地域の自主防災組織です。日ごろは、地域内の安全点検や、防災訓練などに取り組み災害時には、初期消火活動、住民の避難誘導、避難所の運営などに従事します。早瀬町にある、遠野町第13区は、ことし1月末現在718世帯、人口は1723人で市内最大の行政区です。自治会は昭和39年に結成、自主防災組織は平成17年に立ちあげました。東日本大震災の時には自主防災組織を中心に区内の住民の安否確認などを行いました。また、地区の住民310人が自治会館に集まり、「炊き出し」として、10日間でおにぎりおよそ1万2000個を握り、沿岸被災地に送りました。このほか自治会館をボランティアの宿泊所として提供するなど、沿岸被災地の復興活動を支援しました。こうした活動が、災害に強い地域づくりのモデルとなると評価され、平成25年2月に地域づくり総務大臣表彰を受賞しました。しかし、多田自治会長は震災を受け、自主防災に関する課題がみえたといいます。教訓を踏まえ、遠野町第13区では安否確認体制の見直しをしました。そのうちのひとつが、避難体制の変更です。震災以前に一時避難所などを示した防災マップはありましたが、震災を受け、改善すべきところが見えたと言います。なお、遠野中学校での住民の避難確認は民生児童委員などが行い、区内の本部となる自治会館に報告するという連絡系統も確立しました。そして、避難に関する情報をまとめた資料は、平成24年4月に区内の全世帯に配布しました。また、災害が発生した時には独り暮らしの高齢者宅を、民生児童委員など15人が分担して訪れ、安否確認するという組織を確立しました。このような自主防災組織は市内90行政区中88区にあり、市では「共助」に関して期待と課題を挙げています。震災時には地域を超えた助け合いにも尽力した遠野町第13区では、これからも防災訓練への参加や普段の地域活動のなかでのコミュニケーションを通じて住民一人一人に防災や共助の意識の共有を進めていくということです。普段からの隣近所づきあいや助け合いが、災害時の共助につながる。遠野町第13区では、震災で得た教訓が、これからも生かされていきます。

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