全校表現活動 遠野の里の物語

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1 『遠野の里の物語』とは

 千葉県の歌手、作詞、作曲家、高岡良樹さんが昭和55年に作った『歌物語"遠野物語"』の曲が「遠野の里の物語」の元になりました。高岡さんは文化庁の芸術祭に出品するため、柳田国男の「遠野物語」をイメージに数回遠野を訪れ『歌物語"遠野物語"』を作詞、作曲し、レコード化しました。

 本校では昭和57年度に 、それまで重点教科として積み上げてきた体育、音楽、国語の授業の中で知識として身に付いたもの、技能として磨かれたもの、豊かな心として育てられたもの、たくましい体として鍛えられたものを総合的、発展的に学習させる場として、全校集会活動を組織しようと取り組んでいました。そのときの教員が『歌物語"遠野物語"』の曲を偶然見つけ、この活動と結びつけた結果できたものが「遠野の里の物語」です。

 平成29年で36年目を迎えました。この間に児童数も徐々に減少し、平成29年には261名での表現活動となりました。構成の見直しをしながら、一人一人が精一杯に声を出すことなどに努めてきました。
 平成21年には、「遠野物語100周年」のプレイベントとして、遠野市民センターで発表が行われました。大勢のお客さんの前で静と動をしっかりと表現し大成功に終わりました。
 また、平成22年には岩手県芸術祭開幕フェスティバルで発表、平成23年には文化による復興支援シンポジウムin東京で国立劇場で発表しました。開始当初の児童数700人超から現在の257人と3分の1程度に減少したことを感じさせない精一杯の歌声と磨き上げられた演技で観客を魅了しています。平成30年度は、遠野市民センター大ホールで学習発表会を開催し、一般の方にも公開しました。本年度も10月20日に遠野市民センターにおいて、ステージ発表の形で行う予定です。一般の方もご覧いただけます。

2 構成

全校表現活動「遠野の里の物語」は、およそ50分間の内容で次のような構成になっています。       

  (1)入場     

  (2)全校合唱  「トーヌップ」   

  (3)各学年の表現
      中学団…遠野お山節    低学団…カッパ・万吉じさま    高学団…五百羅漢・おしらさま

  (4)全校合唱 「ふるさとは遠野」    

  (5)退場

3 表現内容のあらすじ

<中学団>……遠野お山節

(1)表現内容

  ・遠野三山を表現し、神々の踊りをまじえての物語のデモンストレーション。

(2)物語のあらすじ

遠野お山節  遠野三山(早池峰山、六角牛山、石神山)には女の神様が守り神として住んでいる。

昔、女の神様には三人の美しい娘がいた。長女と次女はおとなしく、末娘は活発な子であった。

ある日来内の伊豆権現の社に泊った夜、母神様が「寝ている間に天からきれいな蓮華の花が落ちてきて誰か胸の上におちて止まるはず。その子に一番高い早池峰山の守り神になってもらう。」と話した。夜中に末娘が目を覚ますと、なんと母神様が話した蓮華の花が長女の胸の上にあった。末娘はそれを取って自分の上に置いて、早池峰山の守神となった。

          

<低学年>……カッパ・万吉じさま

(1)表現内容

  ・歌物語「遠野」の中の「物語」からカッパ、万吉じさまの2つの物語を組み合わせてコミカルに可愛らしく表現する。

(2)物語のあらすじ

カッパ  昔、小烏瀬川の下流に「おばこぶち」という淵があった。その淵にはカッパがいて時々馬や子どもにいたずらをした。

 ある夏の暑い日に、男の子は馬を冷やしに淵へ引いて行ったが、馬を川に入れたまま自分は友達の方へ遊びに行ってしまった。すると、例のカッパが出てきて馬を淵の中へ引きずり込もうとしたが逆にカッパの方が馬に引っ張られて厩まできてしまった。

 村中の人達がいろいろ相談し、殺すのは可哀想なのでこれからはいたずらをしないことを約束させ、放してやったという内容である。

万吉じさま  一日市(ひといち)に米屋を営む万吉じさまが、山の湯に湯治に行っていると、突然、体の大きな天狗が入ってきた。驚く万吉じさまに「おれは出羽の国から来た。お前の家はどこだ。」と言うので、「遠野の一日市の米屋の万吉だ。」とびくびくしながら答えた。

 しばらくたったある日、突然天狗が訪ねて来た。出羽から六角牛山の友達に会いに行く途中だったという。酒をたっぷり飲ませてもてなしたところ、天狗は喜んで黄金の沢山入った袋をお礼に置いて風のように去って行ったという内容である。

      

 

<高学年>……五百羅漢・おしらさま

(1)表現内容

  ・田植え踊りと五百羅漢、しし踊りの乱舞、おしらさまの物語をドラマチックに表現する。

(2)物語のあらすじ

五百羅漢  宝暦5年当時から、数年間、大飢饉が続いて死者が数千人にのぼったと言われている。

大慈寺の義山という和尚さんが死者の魂を慰めようと大小の自然石に500体の羅漢像を線彫りにして供養したと言われている。これが五百羅漢である。

おしらさま  娘と馬の恋物語。あるところに優しい父親と可愛い娘と馬が幸せに暮らしていた。娘は、年頃になり、いつしか娘と馬は愛し合うようになる。怒った父親は娘を使いに出したすきに馬を殺してしまう。死んだ馬にすがりついて泣く娘に突然嵐が起きて、娘と馬を巻き込んで天に上がってしまう。悔やむ父親の夢に娘が現れ、馬の頭をした虫を自分の生まれ変わりと思って育ててくれと話した。父親は娘の言う通り桑の葉を食べさせて育て、絹の反物を作り長者になった。

 父親は桑の木に娘と馬の顔を彫って神様として祭ったという内容である。