キー閉じ込みの悲劇


2012年11月15日(木) キー閉じ込み その4 原因について
 解錠作業が終わった頃に雨が小降りになってきた。JAFから指令を受けて高田からレスキューにはせ参じた担当者がランクルで帰る。深々と頭を下げ、ローソンの駐車場を出るランクルを見送った。土砂降りの雨の中、2時間もかかったキーとじ込みドタバタ劇場もこれで一件落着。
 やはりスペアキーは必要だ。後で合鍵を作って財布の中にでも入れておこう。インテリジェントキーの中に入っている普通のキーなら500円ぐらいでスペアキーが作れる。インテリジェントキーを予備にもう1つ作ってもらうと、びっくりするくらい高いそうだ。何年か前にレガシィのリモコンキーを作ろうとしたが、たしか2万円もすると聞いて止めたことがある。
 ローソン猪川店のU野さんともう一人の女性店員には本当に世話になった。客の対応で忙しい中、傘を貸してくれ、JAFへのコールで電話を都合3回も借り、針金を探してくれたりした。店内でしばらく待たせてもらい、カーディーラーや食堂の位置なども教えてもらった。
 丁重にお礼を言い上郷に帰ってきたが、次にあそこを通る時は改めて寄り、遠野まんじゅうでもお土産に買って行こうかと思う。それから大船渡ボデーの社長さんにもだ。土砂降りの雨の中、右往左往する私に適切な助言と電話、本当に助かりました。ありがとうございました。
 上郷に帰り運転席側のドアだけロックされた仕組みについて検証してみた。
 インテリジェントキーをポケット入れ、運転席側のドアを少し開いた状態でロックしドアを閉めると、集中ドアロック式ゆえすべてのドアがロックされる。もちろんキーがなければどのドアも開かない。
 インテリジェントキーを車内に置いたまま同じことをしようとしても、ピッと音がなりロックノブは開錠の状態に戻る。だからインテリジェントキーが車内にある状態ではキー閉じ込みは普通起こらないだろう。
 運転席側のロックノブを半分だけ押した状態にしてドアを閉めてみた。インテリジェントキーは中にあるが、この状況にはインテリジェントキーは反応しない。そのままドアを閉めると見事にロックされドアは開かなくなる。しかし集中ドアロックされたのではないから助手席のドアは開く。ハッチバックのドアも開く。だからこの状態でもキー閉じこみは起こらないはずだ。
 たぶんあの土砂降りの中、降りる時に急いでいたので、ロックノブに腕か膝など体の一部が当たり、半ロックの状態になったままドアを閉めたのだろう。だから運転席側のドアは開かない。しかし完全ロックの状態ではないから助手席側のドアとハッチバックは開く。
 助手席側のドアを開け、そこから上半身を車内にもぐり込ませる。運転席側の半ロックの状態を開錠しようとしてロックの方に押してしまったのだ。これで集中ドアロックが効く。インテリジェントキーは車内にあるが、開いているのは運転席側ではなく助手席側のドアだ(繰り返すがインテリジェントキーが中にあれば運転席側のドアが開いた状態ではロックできない)。だから助手席ドアを閉めることによって全ドアがロックされてしまったのだ。
 あわてずに運転席側のドアをアンロックの状態にしてから、あるいは運転席側のドアを開いてから、助手席側のドアを閉じる。そうすべきだったのだ。半分ノブが押された状態になっている場合どちらがロックでどちらがアンロックなのか分からなくなる。運転席側のドアを少しでも開ければそんな心配は要らない。
 教訓:インテリジェントキーが車内にあってもキー閉じこみは起こる場合がある。駐車する時は必ずポケットに入れて持ちだそう。それと、スペアキーを用意しておくことだ。
      
2012年11月14日(水) 一昨日のこと キー閉じ込み その3 
 「この車ならピッキングより普通の方法で解錠できますよ。エンジンもかかっているし、開閉ボタンを押して窓を開ければ済むことです。ずっと簡単です。ピッキングなら15分から20分かかりますが、それでも開かない場合もあります。その場合はさらに1時間ほども待ってもらって、もっとプロの専門業者にお願いすることになります。普通の方法なら5分ほどで開きますが、どうしますか」
 さっきの業者と全然違うことを言うではないか。「後ろの窓をこじ開けるのですか?」
 それに対して、「いいえ、前のドアのサッシの隙間から斜めに針金を入れます。最悪の場合少し傷が付くかも知れませんが、付いてもほんの少々ですが、それは了解できますね」
 「はい、少々傷がついても全くノープロブレムです。その方法でお願いします」
 「よかった。こんな雨の中、20分もピッキングの作業をするのはたいへんなんですよ。それで開かない時もあるしね」、とJAF隊員。
 そして、彼がランクルから取り出してきたのは、ペンチのような工具と、針金ハンガーを伸ばしたような針金(2,3か所角度が付いていて先がフック状になっている)、それにクリアファイルのようなものだった。たぶん本当のクリアファイルだ。
 ペンチのような工具でサッシの隙間を少しだけ開けた状態にし、そこからクリアファイルを通して針金を差し込む。クリアファイルはサッシに傷を付けないようにするアイテムだったのだ。
 ”窓の隙間に上から直角に針金を差し込みキーホールの下辺りをガチャガチャとめくらめっぽうに動かす”。これが私がやろうとした方法だった。実際この方法で何度か軽トラや昔の普通車など解錠した。他の多くの人もたぶんやってきた方法だと思う。
 しかし、JAF隊員が針金を差し込んだのは窓の隙間からボデー内部にではなく、ドアサッシの角の部分から斜めに車内に針金を差し込む方法だった。そしてウインドー開閉ボタンに針金を押し当てる。なるほどこれなら目視で、ドアのロック・アンロックノブや窓の開閉ボタンを押すことができる。
 ランクルのお兄さん、2、3回針金を動かしていたと思ったら、ウィーンと窓ガラスが下りてきた。そこから手を入れてドアロックを解錠する。所要時間はほんの2、3分だった。サッシから、そしてクリアファイルから針金を抜き、サッシにもボデーにも傷はまったく付かず、いとも簡単に解錠できた。はめ殺しの窓をこじ開けようとした、さっきの業者はいったい何だったのだ。
 JAF会員証と免許証を提示し、必要事項を記入した用紙にサインし、手続きも終了。作業料金はゼロだった。JAFに入っていてよかった。普通に鍵屋さんにお願いすると、車種や場所にもよるが、料金1万円も取られるそうだ。
 それにしても、針金ハンガーとクリアファイルを使って解錠する、これならもし万が一またキーをインロックした時に、私にもやれそうだ。針金ハンガーをマーチに1本入れておこうかと思う。
 さて、なぜ急に運転席ドアがロックされたのだろう。どうすればそんなことが起こるか実験してみた。最初に思ったインテリジェントキーの電池切れによる誤作動だったのか。いや、インテリジェントキーの誤作動には関係なく、ある操作により運転席側だけロックされる仕組みが分かった。(明日に続く)   
  
2012年11月13日(火) 昨日のこと キー閉じ込み その2 
 (昨日の続き)
 大船渡ボデーの社長(?)さん、弁当を食べるのを途中で止め、JAFのロードサービスに電話をしてくれた。JAFの担当者が出るとすぐに私に受話器をよこす。
 「鍵を閉じ込めてしまいました。車は日産マーチでローソン猪川店の駐車場にあります。ケータイ電話もJAF会員証も車の中です」
 「中に子どもが乗ってますか。エンジンはかかってますか、ガソリンは十分入ってますか」なども聞かれ、車を駐車している場所~ローソン猪川店~に移動して待つように指示される。そこから電話を借りてJAFに電話するように言われた。その時にロードサービス隊員の現場到着時間(予定)を知らせるということだ。いたずら電話ではないことを確認するためのようだった。
 大船渡ボデーの社長さんに心からお礼を言い(あとで何か持って来よう)、また雨の中を5分ほど歩きローソンに移動する。さきほど傘を借りた店員さん(U野さん)から、今度は固定電話の子機を借りて指定された番号をプッシュする。JAFの電話受付の女性が言うには、現場到着予定時間は13時5分頃ということだった。またU野さんにお願いし、ローソンの店内で待たせてもらうことにした。
 予定時間より早くJAFの請負店から車が来た。担当者はマーチを一目見るなり、「あっ、これは難しい」と言い、「後ろの窓ガラスを1センチほどこじ開けますがいいですか」と言う。マーチは3ドアでリアドアはないし、後ろの窓は開閉できない、いわゆるはめ殺しだ。そこをこじ開けるのか。こじ開けてもいいが元に戻るのか。
 「こじ開けた後、もとに戻りますか」と聞くと、「う~ん、分からないですね」と言う。頼りない人だ。「オレができるのは後の窓をこじ開け工具を入れて解錠する方法です。直接鍵穴から作業をするピッキングという方法はできないので、それを希望するなら、もう少し待っていて下さい」、そう言うと、さっさと車に乗り込みそのまま走り去った。
 「もう少し待ってください」、それだけなのか。別の業者、あるいはJAFへの連絡はやってもらえるのか。何時頃に来てもらえるのか。ピッキングというのは時間がかかるのか。それで開かなかいこともありうるなら、後で修理に出してもいいから後部の窓をこじ開けてもらい開錠してもらいたいが、他の説明は何もなかった。
 さらに15分ほど待つが次の車は来ない。またローソンから電話を借りてJAFに電話してみる。「ピッキングのできる業者が陸前高田からそちらに向います。1時間ほど待っていてください」
 また1時間も待つのか。ローソンのU野さんに近くに食堂がないか聞いてみる。何度もお願いして申し訳ないが、U野さんは嫌な顔を全く見せずに、「近くに食堂があります。ただ今日やってるかどうか」。車の会社2つとも定休日だったことを知り、「また休みだったら申し訳ない」、そんな気持ちがうかがえた。
 しかし、今度は営業中だった。良かった。これでびしょ濡れになったスーツも少しは乾かせる。中に入って、親子どんぶりをオーダーする。店内は相席になるほど客が入っていた。10人ほどか。1時間もたっぷり時間があるから時間がかかってもどうということはない。むしろ時間がかかる方が都合がいいのだ。
 20分ぐらい待ち、出てきた親子どんぶりと少しのうどん(セットメニュー)をおいしく食べて、さて予定の時間まであと15分ほどあるが、どうしよう。JAFの女性は、業者が陸前高田から向かうと言っていたが、陸前高田から大船渡まで1時間もかかるはずがない。そろそろ行ってみよう。
 食堂を出てゆっくり歩いていると、ランドクルーザーがローソン駐車場に入ったところだった。中から作業衣を着た男性が出てくる。あっ、あれか。雨の中を傘を差し小走りでローソンに向かう。
 ランクルから出てきたJAF隊員さんが言う、「ピッキング希望のお客さんですね。しかし、この車、・・」(再び明日に続く) 
       
2012年11月12日(月) とほほ・・な1日  ♪土砂降りの雨の中で私は泣い~た・・
 とほほ・・な出来事はこれだけではない。悲劇は今度は午後12時10分頃に起きた。場所は猪川町のローソン駐車場。
 土砂降りの雨の中、鮭ハラミのおにぎりとお茶を買い車に戻るが、あれ?運転席のドアが開かない。これが噂のインテリジェントキー(トヨタはスマートエントリーキー)、電池切れによる誤作動か。キーは車の中、エンジンはかかったままだ。しかしドアが開かない。どうしたことか。
 助手席側のドアも開かないのか。降りしきる雨の中、助手席側に回りドアを引っ張ると・・、ラッキー!ドアが開いた。なんで運転席側だけロックされたのだろう。集中ドアロック方式なのに。
 考えてる暇はない。とにかく運転席側のロックをはずそう。助手席側から上半身をもぐり込ませ、ロックをはずそうとカチッとノブを押し込めた。そして助手席側のドアを閉める。雨の中、また運転席側に回り、ドアを開こうとする。が、なぜかドアは依然として開かない。なぜなんだ?
 あっ、もしかしたらロックをはずすつもりが逆に集中ドアロックを掛けてしまったのか。となると、助手席のドアも開かないのか。ハッチバックのドアも。
 再び助手席側に回りドアを開こうとノブを引っ張るが、ドアはピクリともしない。オーマイゴッド!一縷の望みを持ちハッチバックを開こうとするが、これもだめ。インテリジェントキーを持ったままで押す小さな突起物を押してもウンともスウとも言わない。困った、キーを閉じ込めてしまった。ケータイも車の中だ。雨は降り続け、もうすっかりびしょ濡れだ。しばらくローソンの入り口付近で雨宿りしながら思案する。
 とりあえずローソンの店員さんにビニール傘を借りた。傘をかぶりながらもう一度ドアノブを引っ張ったり突起物を押したりした。ハッチバックのドアも同じことをした。が、どのドアも開かない。合鍵は持っていない。
 じゃあ、自分で開けようか。もう一度ローソンの店員さんに訳を話し、針金(ワイヤーハンガーがいい)がないか聞いてみた。少し中を探していたようだが、ないと言う。しかし、「隣にトヨタカローラのお店がありますので、行ってお願いしてみたらどうでしょうか」
 ありがたい。工場スタッフなら車の開錠は簡単にやってもらえるかも知れない。土砂降りの雨の中を隣のトヨタカローラ店に行く。が、なんと、月曜日は定休日だった。
 またローソンに戻り、隣は休みだったことを告げ、他にはないかと聞いてみる。「反対側に少し行くと別の車会社がありますが、そこも休みかしら」
 とりあえず行ってみることにした。傘を差してはいるが激しく降る雨に背広はびしょ濡れだ。5分ほど歩いたところに岩手トヨタがあった。しかしここも同じ、定休日だった。
 道路を挟んで反対側に車の整備工場があった。大船渡ボデーという会社だ。ここは営業していて中で弁当を食べている人がいる。「こんにちは、車に鍵を閉じ込めてしまいました。開けてもらえないでしょうか」
 車種は何かと尋ねられ、「旧型のマーチです」と言うと、「マーチは難しいよ。インテリジェントキーやスマートキーの誤作動ってよくあるんだよね。申し訳ないがオレはこれから陸前高田に行くところだ。保険会社かJAFのレスキューにお願いしたらいいと思うよ」
 今日はなぜか物事が1回で済まない。(明日に続く)