由良 三郎
2006年11月29日(水) 「ミステリーを科学したら」(由良三郎・著) |
図書館でおよそ2時間、「ミステリーを科学したら」(由良三郎・著、文藝春秋社)を読む。作者は医学博士で推理小説の作家でもある。古今東西のミステリーを俎上にあげ、科学者の立場からミステリーの論理性を追求する。目次を見ると、「ミステリーのミステリー」、「ミステリーの曖昧な収束」、「ミステリーの医学的考証」、「死亡推定時刻」、「毒薬の味」など、ファンなら興味をそそられる内容である。 「およそ推理小説の中に設定された偶然くらい興醒めなものはないが、探偵がたまたま事件の現場にいた、などという偶然はその最たるものだろう」。十津川警部、亀井刑事ならいいが、ルポライター浅見光彦が探偵役というのは困るということか。 「ミステリーの収束として、犯人が自白の遺書を書いて自殺というのは、作者の逃げであり、読者としては許せない」。最近読んだ、松本清張の「蒼い描点」がまさにそれじゃないか。 「ラストに、探偵が関係者一同を一室に集め、『さて、皆さん、ここで事件の種明かしをしましょう〜中略〜つまり、犯人はあなたです』、というシチュエーションで指名された犯人は本当は犯人ではないかも知れない」。最もワクワクする場面、ミステリーの醍醐味だと思うが、犯人が間違っているとは? その他、「糖尿病患者の立ちしょんべんに蟻が群がるか?」、「狂犬病患者が次々に人を噛むか?」など、なかなか面白い本だった。 |
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