柳 広司
2010年3月9日(火) 「ダブル・ジョーカー」(柳広司・著)を読む |
![]() 単行本は高いし読んだ後は見向きもしない。だから図書館から借りるのがいい、最近そう思うようになった。文庫本はブックオフなどに行けば105円か210円で買えるし、これからは少し本代をケチることにしよう。 遠野市立図書館はリニューアルしたということだったが、1階はあまり変わりばえしていないように思われた。トイレが洋式になっていたが、スペースは相変わらず狭く、息が詰まりそうな窮屈な個室だった。 受付カウンタの女性はとても感じが良かった。本を借りていく相手一人ひとりに「ありがとうございます」と言っていた。逆だと思うが、利用していただくことへの感謝の気持ちなのだろう。 さて、今日読んだ「ダブル・ジョーカー」は2009年文春ミステリーベスト10国内部門第2位に輝く作品だ(ちなみに第1位はやはり東野圭吾。強いねこの作家。作品は「新参者」)。 結城中佐が率いるD機関の『死ぬな・殺すな』に対し、風戸中佐の率いる“風機関”は『死ね・殺せ』を教えとする。切り札ジョーカーは2枚もいらない。どちらがスパイ養成機関として優秀か・・・2つの機関の存続が賭かった争いが始まる。 前作「ジョーカー・ゲーム」を先に読んでおかないとまずかった。てっきり風機関がメインとなるスパイ小説だと思っていた。終盤二転三転する面白さに引き込まれるが、結局、勝ったのはD機関だった。風機関に感情移入してただけに、あやや、となる。第2作目からはD機関の人間の視点で読み進める。 短編が5編収録されている。「ジョーカー・ゲーム」もそうなのか分からないが、5作品はたぶん時系列に沿って収録されている。第5話「ブラックバード」で日本軍は真珠湾を攻撃する。スパイたちの暗躍も制限されるためか、このシリーズはこれで完結だという。 しかし個人的にはまだ続けてほしい。「007シリーズ」は20何作目、「ゴルゴ13」は68年から週刊誌に連載中だそうだ。D機関シリーズもまだまだ続けてよ、と願う。 なお、「Dの魔王」(霜月かよ子・画)は「ジョーカー・ゲーム」と「幽霊(ゴースト)」が収録されているコミック版だそうだ。見てみたいと思う。 |