上野 千鶴子 

2008年12月2日(火) 「おひとりさまの老後」(上野千鶴子・著)は面白い本だが・・
 大ベストセラーだという。著者は東京大学大学院教授。現役おひとりさまのようだ。「現役おひとりさまか、将来のおひとりさま予備軍か、長生きすれば誰でも必ずどちらかになる。シングルアゲインも圧倒的に増えてくる。つまり、結婚してもしなくても、誰でも最後はひとりなのだ」。うん、なるほど、なるほど、目からうろこだな。インパクトがある。
 ただ、言ってることは、「金がたっぷり(そこそこでもいい)あって、友人もたくさんいて、健康で、積極的に生きられる強い意志を持ち、知的レベルの高い、おまけに、若いときにモテモテだった、美しかった老女性、つまりご自分のようなということ」、そんなおひとりさまが対象と言っているようだ。
 「金がない、友人いない、もちろん家族もなし、毎日病院通いの薬漬け、そのうち孤独死かも、インターネットはなにものぞ、昔も今もあまり恋愛経験なし」。そんな本当に淋しいおひとりさまの老後は、「知ったこっちゃない」と言うのか。
 女性向きに書かれた本であるが男性にも役立つ、と言っておきながら、あとがきで、「なに、男はどうすればいいか、ですって?そんなこと、知ったこっちゃない。せいぜい女に愛されるよう、かわいげのある男になることね」、とにべもない。上野氏はかわいげのある女性だと思って読んできたが、かわいげのない女じゃないか。昔の恋愛話など聞きたくなかったぞ。
 平均寿命とは、ゼロ歳の時の平均余命のことだから、現在すでに高齢者になっている人は、公表される85歳や78歳よりずっと長く生きる。なるほど平均寿命とはそんな数値だったのか。リタイヤ後はおまけの人生ではない、もうひとつの人生なのだ。ただし、それまでの成長期型の人生設計を下降期型の人生設計に変える必要があるのだ、とか。説得力あるねえ。
 何年か前、「負け犬の遠吠え」という本があったが、条件は満たしていても上野先生は負け犬ではない。なんたって東大大学院教授だしな。負け犬であるはずがない。
  

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