志水 辰夫


2007年6月24日(日) 一関市→遠野市 「行きずりの街」(志水辰夫・著)を読む
 一関発9時の在来線盛岡行きに乗る。志水辰夫(シミタツ)の「行きずりの街」を読みながら、ついうとうと。花巻で乗換えである。
 花巻から遠野に着く前に「行きずりの街」を読み終える。拡張高い文体で語られるという志水辰夫のミステリーである。本屋さん推薦で、十数年前の「第1回ミステリー大賞受賞作」につられて買った。現在と審査員も変わっているだろうが、同じミステリー大賞である。大いに期待して読んだ、初めて読むシミタツの小説である。
 センチメンタル・ハードボイルドと呼んでいいような独特の内容、気障な表現(ただし冗長であり少々やり過ぎ)、たぐいまれなる表現力(これは解説者の北上次郎氏の言葉)。ファンは多いようだ。しかし、この「行きずりの街」は、なんともまあ、面白くない。主人公の行動に共感できないのだ。
 主人公は元・名門女子高校の教師。女生徒が卒業するのを待ち結婚。これがスキャンダルとなり学園を追われる。しかしこれは学園の陰謀。何かがある。十数年後、男と逃亡しているらしい別の教え子(自分の家によく来ていた)の行方を追い東京に出てくる。「おまえ、まだ若い娘のケツ追い回しているのか」、元の同僚に言われるのも当たり前。やがて深夜にかつての妻と会う。そして・・・。
 こんな女好きの主人公が受け入れられるか。誰かが言っていた。虫唾が走る小説だと。
 さらに、深夜に訪れるアパートやマンション。かつての美人同僚、元妻の母、元妻、事件の首謀者、社長や園長など、よくもまあ簡単に主人公を中に招き入れられるものだ。情事に及んだり、寸前で帰ったり、事件の謎についての証言を得たりと、ご都合主義もいいとこだ。
 途中から読むのが嫌になったが、読み始めた本は、最後まで読まなければ気がすまない。結局、眠いのを我慢して、電車の中で読み終えたが、感想など、しばらく書く気にもならなかった。ファンには申し訳ないが、志水辰夫の他の作品をもう読もうとは思わないだろう。


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