西澤 保彦 


2003年8月3日(日) 「ファンタズム」(西澤保彦・著)を読む 何これ?
 本格ミステリーの意匠を借用しているけれど、「本格」でもなければ「ミステリー」でもない(作者)と言う。じゃあ何なのさ、一体?SFか、幻想ホラーか、はたまた、ただのはったり・手抜き小説か?
 そうは言うもののまぎれもない本格ミステリーじゃないか、と思いながら読み続けた。最初から連続殺人事件の犯人が登場する。警察とこのすっとぼけの挑戦的犯人の対決はワクワクするほど面白い。パスポートによりアリバイは完璧だ。その間にいったいどうやって彼は日本で5人の女性を殺せるのか?
 そして終盤、思いもしない展開が待っている。結局、日本とアメリカで10人の女性が殺される。しかも名前に共通点のある女性が同じ日に同じ殺害方法で。わけがわからなくなる。いったいどんなエンディングが待っているのだ。早く、早く、ラストにたどり着きたい。そしてついに最後のページ。ドキドキしながら最後のページを読み終える。そして。。
 あれ?この本は上下本セットの上巻なのか。改めて表紙を見る。「上」とか「1」とか書いてない。つまり「続編」のある本ではない。明らかにこれ一冊で完結の本だ。これで終わりか?解決編がないじゃあないか。パスポートのアリバイは?あの密室殺人のトリックは?犯人はテレポーテーションの術を心得ているとでも言うのか?これじゃあ、中途半端、欲求不満、尻切れトンボだ。
 インターネットでこの本の感想などを見てみる。「トリックが分からない人がいるでしょう」だって。分からないよ。読みかたが浅かったのか。あるいは作者・西澤保彦の作風に慣れていないせいか。何度考えても分からなかった。誰かこの本を読んだ人、謎を解くカギを教えてくれー!
 有銘、司辻、柘本、日疋、志我聞、坤徳ら、ルビなしでは全く読めない登場人物。作者はよっぽど難しい読みの人間が好きらしい。ちなみに読み方は順に、アリメ、カナツジ、ツゲモト、ヒビキ、シカノエ、コントクである。あなた、読めましたか?


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