西村 京太郎 その3


 
2019年1月19日(土)  東北新幹線はやて殺人事件(西村京太郎・著)を読む
 9:20〜地域でこどもを育てる活動発表会(あえりあ遠野交流ホール) 
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 「新幹線秋田こまち殺人事件」(吉村達也・著)と同時並行で読んだのは「東北新幹線はやて殺人事件」(西村京太郎・著)
 東京の古いアパートが放火され焼け跡から男性が他殺体として発見される。奥田という男で、実家は十和田湖畔で旅館を経営していた。奥田が時々通うスナックのママ明子が奥田の遺骨を持って東北新幹線はやてに乗るが、予約席には見知らぬ女が座っていた。
 東北新幹線が八戸駅まで延伸開業したのは2002年12月1日のことだった。17年前のこと。ちなみに八戸〜新青森駅の開通は2010年12月4日。昨日のレビューにも書いたが、秋田新幹線こまちは1997年3月22日に開通した。
 明子の十和田行を通じて、酸ヶ湯温泉、奥入瀬渓流、十和田湖の風景が次々に開けていく。しかし、このタクシーの運転手はなんか怪しい。明子がこの個人タクシーを指名した理由が本書では説明されない。あえて作者は読者に対してなぜなのかを示さない。言ってみればアンフェアであり、あるいはこれも叙述トリックの一つか(そんなにおおげさなものではないが)。
 十和田湖、八戸での連続殺人事件に臨む十津川警部と亀井刑事。事件は産業廃棄物処理場をめぐる利権構造へとつながる。
 トラベルミステリーであるが、時刻表トリックなどはなく、むしろ旅情ミステリー、あるいは社会派ミステリーの部類に入るだろう。展開も早く読みやすい。ただ粗製乱造?あまり面白くはなかった。意外性もあまりなし。何よりも作者が明子と奥田の関係を小出しにしか出さず、明子の単独行動の意味するところも曖昧なままストーリーを進める。これでは十津川警部と亀井刑事もお手上げである。もちろん読者が推理する術(すべ)もない。
 ラストの事件解明に大きく関わってくるのが明子から十津川警部への手紙(ネタバレになるが遺書)であったが、これもミステリーとすればお手軽解明となるだろう。亀井などの切れ味鋭い推理などなくても事件は解決に向かうのだから。  
 


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