蒔田 光治/林 誠人
「トリック」 蒔田光治 林誠人・著 |
2年ほど前にテレビ朝日系列で放映された連続ドラマ「トリック」のノベライゼイションであるという。売れない女性マジッシャン山田奈緒子と超能力をはなから否定する大学講師の理系人間・上田次郎が遭遇する摩訶不思議な事件の連続。マジックに興味があり時々人に披露しビックリする顔を楽しむ自分としては、中身をパラパラっとめくってみただけで買わずにはいられない文庫本だった。 いかがわしい宗教集団教祖のトリックと対決する「母之泉」、巨大な建物を一瞬にして消すという消失マジックを暴いてみせる「まるごと消えた村」の2編はマジックの種明かしもしてくれ、おもしろい。なるほど、なるほど。でもちょっと無理があるなあ。 「パントマイムで人を殺す女」も推理小説のアリバイ崩しの趣きあり。フム、フム、いい感じ、と思ったのはこのあたりまでか。次の「千里眼の男」では前3作から続くテレビ画像的表現に飽きてきた。だんだん先も読めるようになって来たぞ。やはり手品の種明かしも登場するが、ちょっと安易なネタ。自分だって分かる。そして最後の「黒門島」に至っては、蛇足だったのでは?話しが急展開しすぎだったよ。そして脳天気なラスト。どうすうんのよ。 結局、奈緒子は誰と結婚することになるのだろう?上田か、照喜名か、長野の瀬田か、あるいはまた留学生ジャーミー君か。どうでもいいことだけど。 |