倉知 淳

2003年7月17日(木) 「星降り山荘の殺人」(倉知淳・作) 完全にだまされるゾ!
 ミステリーを読む楽しみは”驚愕の”ラストで騙されたいから。やられた〜!え〜、そんな!あるいは単に、うっ!とうなったきりあとは呆然、そんなラストのカタルシスを求めてミステリーを読む。途中、どんなに退屈でもどんなに込み入った展開でも、この作者はどんなラストを用意してくれてるんだろう、どんな仕掛けで読者をペテンにかけようとしているのか、そのラストのお楽しみがあるから、途中でやめることはできない。
 今まで様々な予期せぬラストに出合ったし、騙された作品も多い。が、この「星降り山荘の殺人」ほど、騙されるミステリーはなかった。
 作者の”フェアな”コメントが憎い。「○○はワトソン役。絶対に犯人ではありえない」とか、「いよいよ探偵役が登場する。当然この探偵役も犯人ではない」、「重要な伏線が張られてあるから注意して読むこと」など。こんな挑戦的なミステリー、今まであった?私は初めてである。
 よし、それなら、犯人を当ててやろうではないか。論理的には難しくても、勘で当ててやるぞ(^^ゞ。一番怪しいのが犯人であるはずがないから、これはずして、と。なんか、この人物が怪しいな、動機は何だろう?証拠は?よし、犯人はこれに決めよう。
 そしてラスト近く、ほ〜ら、やっぱりこいつが犯人だったじゃないか。予想どおりだ、と思っていると、次にとんでもない展開が待っている。そして真犯人が。。
 ほとんどの人間がだまされるだろう。あわてて前のページを読み返す。最初は怒りだ。フェアではない!次に、待てよ、もしかしたら。。あっ、やっぱり!時間が経つにつれて騙された悔しさが薄れて心地よい読後感が。これがあるからミステリーを読むのをやめられなくなる。う〜ん、満足だ。


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