木下 半太
2008年9月16日(火) 「悪夢のエレベーター」(木下半太・著)を読む この疾走感は爽快 |
緊急停止したエレベーターに閉じ込められた3人の男と1人の女。浮気男、ヤクザ、オカマ、自殺願望の女。これら4人の密室化したエレベーター内での狂気の(しかし実は・・)行動や思考が面白い。4人の素性が分かり始める第1章後半は特に読むのを止められない。そうきたか。予想を裏切ってくれるなあ。鮮烈などんでん返しだ。 気持ちよく裏切られること請け合い。だから、読んでみてと薦めたい本だ。しかし大の大人が威張って読むような本ではないな。なんたってブログ小説なのだ。会話主体で各ページの印刷分量が少ない。白い部分が多くスカスカだ。普通の文庫本の2倍くらい速く読める。一気読みなら2、3時間もあればいい。 たけし軍団のダンカン演出で今(9月12日から21日まで)東京公演中だという。大阪公演も予定してあり25日から28日までとか。その原作本だ。ダンカンは知っているが、出演者は吹越満、高橋真唯など、知らない俳優ばかり。しかし読んでみて芝居も絶対面白いだろうなと思わせる原作本だ。大部分エレベーター内でストーリーが展開するから、そもそも舞台用に書いた小説なのかも知れない。 文庫本では第3章まである。つまり第3章で完結なのだ。最初からとぼけたサスペンス。いったいどうなるのやら。第1章、ラストのオチが強烈で、このまま完結かと思わせる。第2章、第3章もあるが登場人物などは同じでも別の物語の短編集か。そう思ってしまう。だが、第2章は第1章の続きだった。まあ、続きと言っても、第2章は第1章を別の人物の視点から見た同じ内容だ。なるほどそうだったのか、という納得はあるが、ほぼ台詞なども繰り返し。ページ数稼ぐつもりかいな、と思ったほど。ちょっと不満。 第3章でストーリーは激変する。舞台はエレベーターからマンション内、そして戸外にも及ぶ。冗談だと思っていた殺人事件発生。結局3人も死んでしまう。まさかユーモア小説なのにシリアスな殺人か。生き返ったなんていうバカなオチがあるのか。心配ご無用(?)、本当に死んだ。 第3章で終わっているが、中途半端な終わり方だった。よくあるように、この後は読者の想像にお任せします、だったのか。まあそれでも良い。展開が速い、先が見えない面白い小説だった。読みやすい、疾走感を感じる、お気軽なサスペンス(&ユーモア)小説だった。気分転換にいい。けっこう売れてるみたいだ。 ブログ小説だからインターネットでも読めるのか。検索してみたら、なんと第4章、第5章がアップされていた。やはり文庫本第3章で完結ではなかったのだ。第4章を最初から読んでみるが、パソコン画面で読むのは疲れる。寝転がって読むわけには行かないから。 |