川上 美映子


2008年2月21日(木) 芥川賞受賞作「乳と卵」(川上未映子・著)を読む
 川上未映子、76年8月29日大阪府生まれ31歳、大阪市立工芸高等学校卒業、書店員、歯科助手、北新地でホステスなど様々な職業を経験した後、CDデビュー、つまり歌手。日本のミュージシャン、文筆家、小説家。自称「文筆歌手」。「早稲田文学」に掲載された「わたくし率イン歯ー、または世界」が第137回芥川賞候補になり注目を集める。2度目の候補の「乳と卵」でみごと受賞。「ちちとらん」と読ませる。
 幼少の頃家には1冊も本がなかったそうだ。それでも小説を読むのが好きだったというが、その本はどこから手に入れた?始めは国語の教科書を何度も読んだ、次に学校の図書館から借りまくった。やはり文学少女だった。
 この「乳と卵」、関西弁が饒舌に連なる小説だ。改行なしで、句点(。)がないまま読点(、)だけで、数ページにわたって関西弁の言葉、言葉、言葉の羅列だ。たまに音読してみると面白い。舌を噛みそうになるが、関西弁の妙なリズム感が心地よくなるから不思議だ。嘘。そんなわけない。読み続けるのがつらくなる。この関西弁、どうにかしてくれ。それにしても大阪人のパワーはすごい。大阪のオバサンは怖い。
 ストーリーは豊胸手術をしようと上京する女性と、初潮を迎えようとするその一人娘、そして2人と3日間行動を共にする女性の妹(この小説の語り手でもある)3人の物語。大阪人のエネルギーがこれでもかと感じられる。ぐしゃぐしゃにした生卵と2人のクライマックスは切なくなる。別れた夫と何があったのか。緑子が急に言葉を発した訳とは。
 芥川賞は純文学というイメージであるが、これが芥川賞にふさわしい文学なのだろうか?個性的であることは他に類を見ない、際立った個性的な小説である。
 

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