深谷 忠記
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2005年6月10日(金) 「安曇野・箱根殺人ライン」(深谷忠記・著)を読む |
深谷忠記(ふかやただき)も地名ミステリーを数多く執筆している。彼の作品には「地名+殺人ライン」という独特のネーミングのものが多い。「長崎・壱岐殺人ライン」、「尾道・鳥取殺人ライン」など。 探偵役として壮&美緒の純愛コンビが活躍する。壮の頭脳明晰には警察も舌を巻く。しかし、壮&美緒が積極的に事件解明のために動くわけではないので、捜査状況を壮らに伝える警察関係者がいなければこのミステリーは成り立たない。その点、少しもどかしいところがあるかな。 午後6時半に小田原にいた人間が9時までに穂高に立つ方法とは?つまり、周到に仕組まれたアリバイ工作がメインとなるミステリーである。列車じゃ無理、中央高速を車で飛ばしても無理だ。近くに飛行場はなし、自家用飛行機は論外、しかしあいつが犯人であるには、それが可能なはず。いったいその方法とは? 箱根や、小田原、穂高、諏訪、松本など、土地鑑がない(行ったことがない)自分にとっては、いちいち地図を参照しながら読み進めるのが面倒だった。しかし、小説の中身とは別にこのラインは魅力的な観光ルートでもある。芦ノ湖、山中湖、河口湖、西湖、諏訪湖、白樺湖など、湖だけを訪れる観光ルートも考えられる。 富士山も近いところにある。北上すると、穂高、蝶ケ岳、常念岳など北アルプスの山々が見えてくる。魅力的な殺人ラインである。高速道路は、東富士五湖道路、中央自動車道、長野自動車道など。いつか是非走ってみたい道路だ。そう言えば、山梨県や長野県って、あまり行く機会がない県だな。 で、そのアリバイ崩しはどうだった?もちろん納得の行く解決編が用意されているからご心配なく。推理作家でもない普通の殺人犯がよく考えるもんだな、と突っ込みたくはなるが、あれで可能であることはよく分かる。謎解きもさることながら、知らない観光地でも少しの旅情を味わえる、読んでよかったなと思える作品である。 |
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