江戸川 乱歩
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2004年8月28日(土) 「江戸川乱歩傑作選」(江戸川乱歩・著) |
私が子どもの頃に初めて読んだミステリーは江戸川乱歩の探偵小説だった。「少年」という漫画月刊誌に連載された「怪人二十面相」や「鉄人Q」を夢中になって読んだ。当時の漫画雑誌には小説も連載されていた。「鉄人Q」はその後、単行本も買って読んだ。 中学生と高校生の頃は小学館の学習雑誌を毎月定期購読した。「中学生の友」や「高一時代」という題名の雑誌だったと思う。それに読みきりで掲載された「心理試験」や「D坂の殺人事件」などの作品を読んだ覚えがある。付録についてくる小説の中にも江戸川乱歩の作品があった。 あれから数十年を経た現在、光文社などでは江戸川乱歩全集も発刊されている。相変わらず江戸川乱歩のミステリーは幅広く読まれているようだ。 今日読んだ「江戸川乱歩傑作選」は全集の一冊ではなく、新潮社の文庫本である。江戸川乱歩の初期の代表作9編が収められている。 「二銭銅貨」-- 江戸川乱歩の処女作。エドガー・ア・ランポーの「黄金虫」を参考にしたような暗号解きをテーマとする。南無阿弥陀仏の言葉で暗号コードを作るとはさすが。名前をもじったポーへのオマージュか。 「二廃人」-- 夢遊病者を扱ったもの。二人の老人の会話で筋が運ばれているが、最後がピリリと辛い。 「D坂の殺人事件」--初めて明智小五郎が登場する作品。日本家屋でも密室殺人事件が可能だということを言いたかったよう。 「心理試験」--高校時代に読んだ作品でなぜか一番記憶に残っている。これも明智小五郎が活躍するが、犯人を追い詰めるのは刑事コロンボ的。 「赤い部屋」--法に触れぬ方法で99人を殺した人間。さてあと一人で100人であるが、100人目の犠牲者は誰? 「屋根裏の散歩者」--映画かされた作品であるが、明智小五郎が犯人を追い詰める方法はルール違反である。だまし討ちによる自白。 「人間椅子」--これが一番面白かった。こんなストーリーをよくまあ考え付くものだ。 「鏡地獄」--鏡の球体に入ったら実際どんな風に像が内部に映るのだろう。想像が付かない。気がふれてしまうほどのものか? 「芋虫」--グロテスク小説と読んだらいいものか。恐怖小説か。梅津かずおの漫画の世界だ。 |