梓 林太郎
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2002年2月17日(日) 「北上川殺人事件」(梓林太郎・著) |
梓(アズサ)林太郎は「穂高雪山殺人迷路」など山岳ミステリーを得意とする作家である。最近は”川”シリーズも手がけており、昨年読んだ「四万十川殺人事件」も彼の著書である。”川”シリーズでは旅行作家の茶屋次郎が主人公となる。女性にもてて自らもナンパしようとする軽いノリの探偵役作家である。彼の周りには常に女性が付きまとう。事務所に雇っている二人も若い女性(サヨコとハルマキ)である。彼女たちにはどういうわけか二枚目的なキャラクターを与えているが、実際はかわいい女性のようだ。彼女たちとの会話は笑わせてくれる。 茶屋次郎は「北上川殺人事件」でも都合よく?殺人事件に巻き込まれる。しかも今度も「四万十川殺人事件」の時と同様に茶屋次郎が殺人犯にされてしまう。彼を殺人犯と決め付けてしまうのは花巻警察署の刑事たちだ。このあたりは岩手蔑視と思われる表現もある。牛を引いているのが似合いそうな刑事とか、花巻警察署で出してくれた親子どんぶりはまずくてしょっぱくて半分も食えなかったとか。バカにされているようでいやな感じだ。 後半、連続殺人の犯人らしき人物を何人も登場させる。作者の好みか全員女性だ。駒子、若子、直子、結見子、真理、禎子と6人もだ。トリックはカメレオン繊維。水に濡れると色や模様が変わる繊維で作ったブラウスだった。目撃証言をかく乱させる目的でそんなシャツを着ていたようだ。しかしラストは面白くない。無理がある。とって付けたようで不自然なラストであり、納得させる切れ味がない。殺人の動機もいまいち伝わってこなかったな。 |