阿刀田 高
2003年4月13日(日) 「待っている男」(阿刀田高・著) |
昔好きでよく読んだ阿刀田高の短編集である。一風変わったミステリー短編で最後の最後まで気が抜けない。昔読んだものもあったが、改めて読み返しても面白さを味わえる。かなりきわどい官能小説風作品もある。エロティックだ。 「待っている男」はドキドキしながら女を待つ男の一人称ミステリー。彼女が来なかった怖い理由がラストに分かる。超常現象で無理やり片を付けようとする「朱いドレス」と「紙の女」はあまり私の好みではない。 「俺と同じ男」では読者の想像にゆだねる憎いラストを用意している。思わず、えっ、そんなバカなと思うが、ニヤリとさせられる。「西瓜流し」はスイカの正体がわかるj途中からホラー化する。「鈍色の目」は官能小説風、ラストはギョッ!となる。「鳥」のラストもふざけ過ぎ。「藁の人形」はラストまでぐいぐい引っ張るが、ラストは拍子抜け。最も面白かったのが最後の「ありふれた誘拐」だ。見事な短編小説である。全く想像もできなかった誘拐がラストに判明する。これこそ短編の醍醐味だ。 |
|