1 「オデッセイ」 監督:リドリー・スコット 出演:マット・デイモン ジェシカ・チャステイン クリステン・ウィグ ジェフ・ダニエルズ |
![]() 「オデッセイ」といってもホンダのミニバンの車名ではない。オデッセイ(odyssey)を辞書で引いてみると、「放浪、長い旅、長期の旅行、冒険」とある。ホメロスの叙事詩の題名でもあり、「トロイ戦争後オデッセウスが故郷に帰るまでの10年間の旅の大叙事詩」と説明されている。 なるほど、「長い旅」か、それで分かったぞ。ホンダのオデッセイも長距離の旅に適したミニバンという意味が込めらたネーミングなのだ。 映画「オデッセイ」は、あるアクシデントにより火星に1人残されクルーのサバイバル映画である。いわば、「ロビンソン・クルーソー」や「キャスト・アウェイ」の火星版なのだ。 絶望的なシチュエーションでもマークは異常に前向きだ。クルーの残していった排泄物を肥料に火星でジャガイモを栽培する。水を作ることにも成功し、太陽電池や予備電池を使って探査機を動かす。探査機の中の通信装置を見つけてNASAと交信を試みる。成功だ!マークが1人火星で生きていることを元の隊員たちが知る。NASAはマークの救出作戦を始める。しかし、難題は次から次へとマーク、それに地球からの救出隊にも襲い掛かる。 食料も減っていく。火星での事故にも遭遇する。それでもめげないマークは、クルーが残していった古い時代の音楽を聞き、ジャガイモを食いながら、「ハーイ、マイクだよ。今日は〜」と、ビデオ日記も続ける。 音楽はドナ・サマー、ABBA、亡くなったデヴィッド・ボーイなどの懐かしい音楽だ。悲しい音楽ではない。明るく、ノリノリでどこまでもポジティブになれる音楽だ。「I Will Survive」という題名の音楽もあった。「ゼロ・グラヴィティ」にそっくりな場面もあったが、退屈することなく映画は終盤に向かう。 久しぶりに3D映画を観た。近視メガネの上に3Dメガネをかけ、ずり落ちるのを時々手で押さえながら見た。ときどきはっとする美しい画面にこれこそ3D効果だと思う。が、あまり効果的ではない画面では3Dメガネは邪魔だった。画面が暗く感じるし、人物が小さく見える。メガネはずり落ちる。3Dメガネを先にかけ、その上に近視メガネをかけてみた。おっ、今度は具合がよろしい。ずり落ちることもない。 なぜか中国の宇宙航空局のようなシーンが時々挿入される。日本人は登場しないが中国人は登場する。中国から予算的援助を受けて制作した映画なのかと思った。世界のホンダが中国に負けじと製作に参加すればよかったと思うのは自分一人だけか。 --------- 家族の迎えにいわて花巻空港へ行く。21日まで遠野に滞在する予定だ。 |
2 「インデペンデンスデイ;リサージェンス」 監督:ローランド・エメリッヒ キャスト:リアム・ヘムズワース ジェフ・ゴールドブラム ビル・プルマン マイカ・モンロー ジャド・ハーシュ |
![]() 「リサージェンス」とは復活や再起を意味する。20年後、進化した奴らがまたしても地球を襲う。重力を自由にあやつり、街全体を持ち上げ、一気に地面にたたきつける。地震を起こし、ケタ外れの巨大津波が大都市を破壊しつくす。超高層ビルも一気に飲み込む巨大津波から主人公たちはどうやってサバイブしたのか。まあ、あまり突っ込まないことだ。 登場人物は20年前とほぼ同じ。みんな、歳を取っている。20年前、ビル・プルマンが演じた大統領は今作では女性だった。前作より影の薄い女性大統領だ。ジェフ・ゴールドブラムは渋く、魅力が増していた。しかし、1人足りない。20年前の主人公、ウィル・スミスが出ていない。20年前のヒーローとして写真だけだ。彼は前作では死んだのだっけ? どこかで見たことのあるシーンが多い。「GODZILA」、「宇宙戦争」、「エイリアン」、「2012」など。ラストはラスボス対主人公たちの戦いだったが、なぜか敵キャラはあのゴジラみたいな巨大クリーチャーだけなのだ。スクールバスを追っかけ、逃げ回るのはまるで「ジュラシックパーク」だった。 まあ、ご都合主義には目をつむり、大パニック映画を楽しもうっていう映画だ。なんだかんだと言っても大好きなエメリッヒ監督、今回も楽しませてもらった。 |
2 「白鯨との闘い」 監督:ロン・ハワード キャスト:クリス・ヘムズワード ベンジャミン・ウォーカー キリアン・マーフィ ベン・ウィlショー(ハーマン・メルヴィル) |
![]() メルヴィルの「白鯨」は大学の教材として原書を読んだ(全部読み切ったか否か覚えていない)。そのためか、20年ぐらい前に見た映画の「白鯨」であるが、教会のシーンは今でも割と印象に残っている。神父さんの長い説教は宗教的であり、哲学的でもあったはずだ。 CGはない時代。もちろん白鯨との闘いも実写であるが、命を賭けたエイハブ船長の執念はすさまじく、白鯨が銛を打ちこまれ、海中に潜る。ボートが転覆する。捕鯨船が破壊される、そんな迫力も十分に伝わる映画だった。 「白鯨」から60年、2016年の「白鯨との闘い」は、ハーマン・メルヴィルが「白鯨」執筆にいたるまでの舞台裏を描く映画である。白鯨との戦いに敗れ、漂流し、生死をさまよい、奇跡的に生き延びた、当時一番若かった乗組員に過去を語らせ、映画は全体として回想の形を取る。 船長はベンジャミン・ウォーカーだが、この映画の主人公は一等航海士のクリス・ヘムズワードだ。原題は、「In the Heart of the Sea」。邦題「白鯨との闘い」はこの映画の一部しか見ていない人が付けたものだろう。捕鯨船は嵐に翻弄され、海洋アドベンチャー映画と化す。「パーフェクト・ストーム」(ウォルフガング・ペーターゼン監督、ジョージ・クルーニー主演)を思い出す。 クジラの大群に出会い、クジラを捕るシーンも見応えがある。3艇のボートに乗り移り、クジラを追う。危険を顧みない男たちのロマンと捉える人もいるだろう。男たちは銛でクジラを仕留め、油をタンクに集める。そう、19世紀の捕鯨は鯨油を取るためだったのだ。鯨油は生活必需品であり、燃料、食用としてお使われたのだ。年少の乗組員がクジラの中に入り、吐き気と戦いながらバケツで鯨油を集める。油を取り尽くしたクジラは用無しとなり海に捨てられるのだ。 ここまでの展開も面白いし、手に汗を握る興奮を覚えるが、ついに捕鯨船は白鯨に出くわすのだ。最初から白鯨を追っていたのではない。大群の中にたまたま巨大な白鯨がいたという設定。これが本家本元の「白鯨」と違うところである。 捕鯨船は白鯨にいとも簡単に破壊され、わずかな水と食糧を積み込んだ3艇のボートで命からがら逃げ、漂流する。すぐに食料も水も底をつき、命を長らえるためにある行動に出る。それでも1人、また1人と死んでいく。 そして、無人島に漂着する。ここからは、「キャスト・アウェイ」(ロバート・ゼメキス監督、トム・ハンクス主演)、あるいは「ロビンソン・クルーソー」だ。 ある1つのシーンを除き、満足できる海洋アドベンチャー映画である。グレゴリー・ペックの「白鯨」をまた見たくなった。GEOでDVDレンタルできるだろうか。 |
3 「アメリカン・スナイパー」 監督:クリント・イーストウッド キャスト:ブラッドリー・クーパー シエナ・ミラー ルーク・グライムス ジェイク・マクドーマン |
![]() フォーラム盛岡の大画面で観た。7.1chサラウンドシステムの音響は戦場の緊迫感を一層盛り上げる。狙撃する前の鼓動や息遣いも真に迫る。 「映画館が戦場になった」は昔の映画、「地獄の黙示録」のキャッチコピーだったが、これこそまさに、「映画館が戦場になる」、映画だった。横や後ろからも弾が飛んでくる音響に体が反応した。 冒頭、ゆっくりと動く戦車の圧倒的力感に息を呑む。その戦車に対戦車爆弾を持って走り寄る女児とその母親。スナイパー(ブラッドリー・クーパー)は味方を助けるためなら女や子どもでも容赦しない。一瞬にして打ち抜かれるシーンは、これが戦争なのだ、と言っているようだ。 アメリカ軍で最も強い狙撃手と呼ばれた、クリス・カイルの自叙伝を実写化したドラマだという。アメリカ海軍特殊部隊ネイビーシールズ所属のスナイパーであった彼が、イラク戦争で数々の戦果を挙げながらも心に傷を負っていくさまが描かれる。ドキュメンタリーのようであり、これぞ戦争映画、まったく飽きることなく画面に集中できる。地上戦であり、戦闘場面では昔のテレビドラマ「コンバット」を思い出した。 4回のイラク派遣の合間に交互に描かれる家庭人のクリスはよき家庭人、よきパパ、よき夫である。この対比は泣かせる。「アメリカン・スナイパー」は「ゴルゴ13(サーティーン)」だけではなかったのだ。 エンドロールにキャストやスタッフが次々に流れる。まったくの無音のままだ。ふつうは音楽がかぶさるが、どうしたのだ。スピーカーが故障したのか。観客はエンドロールの途中から退席する。何かの意図があって無音のままエンドロールを流したのだろう。まさか最新の7.1チャンネルサラウンドシステムが故障というわけではあるまい。エンドロールを眺めながら、2時間の”戦争”について考えさせようとする意図なのだろうか。 |
4 「アナと雪の女王」 監督:クリス・バック ジェニファー・リー |
![]() 雪の女王エルサは、今年はまだ遠野には来てないようだ。湿気を含むこんな雪は少し丸めて転がすとすぐ大きくなる。♪ゆき〜だるま作ろう〜 今年の雪だるまはニンジンが必須だろうな。オラフと言ったっけか、あの雪だるま。 社会現象にまでなった「アナと雪の女王」(原題はFROZEN)。遅ればせながら昨年秋ごろにDVDで見た。ストーリーの展開が速く(特に両親の船旅での遭難死、わずか十数秒だ)、まあ面白いことは面白い。それと画面がとにかくきれいだ。人物の動きもいい。顔の表情が豊かで、特にアナの寝起きの表情はサイコーだ。長い髪がボサボサになり一部が口の中に入っている。背景の雪と氷の質感もこれがアニメなのかと目を疑ってしまうほどだ。脇役だがオラフ(雪だるま)とスベン(シカ、ウマ?)のキャラクターも秀逸だ。 映画館で観客も歌ったと言う「Let it Go」(ありのままに)。しかし、エルサが歌う場面が気になった。違和感がある。見る前は希望に満ちた明るい場面で歌うのだろうと思っていた。観客にも希望や勇気を与える主題歌なのだろうと思っていたが、違った。妹のアナが、初めて会ったハンス王子と結婚すると言ったら、エルサが異常に怒る。姉妹なのにまるで嫉妬するかのようだ。 そして、エルサはアナを振り切って家を出る。えっ、こんなことでか?エルサが姉妹(きょうだい)喧嘩の末の家出なのだ。行先は山の中にそびえる雪と氷の城だ。そこに一人こもるためだ。その時歌うのが、「Let it Go」(ありのままに)だ。 エルサは王女なのになぜか王様という配偶者がいない。全編を通じてエルサの色恋はまったくこの映画の中では触れられない。つまりエルサは男に興味がないということか。男には興味がなかったが、妹であるアナとは”真実の愛”を育みたかったのだ。なのに、アナはハンスを連れて来て、「今日結婚します」と言う。ショックを受けるエルサ。絶対ダメと言い、家を出る。雪と氷の白に向かう途中に歌うのが「ありのままに」だった。 ♪とまどい傷つき 誰にも打ち明けずに悩んでいた それももう止めよう ありのままの姿見せるのよ ありのままの自分になるの 何も怖くない これでいいの自分を信じて♪ そうだったのか。エルサは同性愛者だった。人に言えず悩んでいたのだ。男は要らない。妹のアナがいればよかった。しかし、もうダメ。カミングアウトしよう。自分は同性愛者なのだと。これからは”ありのままの姿で”生きていくことにしよう。そう歌うエルサ。 「アナと雪の女王」はそんな同性愛アニメだったのか。そう言えば、あの山小屋のオッサンもそれらしい雰囲気の山男だな。 |
5 「ターミネーター新起動ジェネシス」 監督:アラン・テイラー キャスト:アーノルド・シュワルツェネッガー ジェイソン・クラーク イ・ビョンホン エミリア・クラーク ジェイ・コートニー |
![]() しかし、シュワルツェネッガーは出ているが、B級、リメイク版として見るには楽しめた。T2を越えるものは出ていない。もう「昔の名前で出て〜いま〜す」的映画は止めようよ。 |