1 「男たちの大和」 監督・脚本:佐藤純彌 原作:辺見じゅん 製作:角川春樹
 出演:反町隆史 中村獅童 鈴木京香 松山ケンイチ 渡辺大 渡哲也 寺島しのぶ 仲代達也 蒼井優 長嶋一茂
 多分2005年最後に観る映画になるだろう、「男たちの大和/YAMATO」(本当は「キングコング」も観たい)。昨日、宮古経由で侍浜に戻る途中、3:50〜宮古シネマリーンで観た。観客は思った以上に多かった。
 7年前に死んだ親父が言っていた。「大和はまるで山のようにそびえていた。46サンチ胞(なぜかセンチではなくサンチと言っていた)の大和が沈むとはなあ」。「山のように〜」は映画の台詞にも出てきた。多分当時大和を見た兵士たちのよく言っていた言葉なのだろう。
 骨太の反戦映画である。浮沈戦艦と呼ばれた大和が、縦横無尽に飛び回るアメリカ空軍の戦闘機の前に、なすすべもなく沈んだ。2500人という海軍兵士たちと共に。目を覆いたくなる激しい戦闘シーンに、戦争の無益さ、悲惨さ、ばからしさが伝わる。戦争を2度と繰り返してはならないメッセージを若い世代はしっかりと受け止めるに違いない。
 血のりが飛び散り、若い兵士たちがのた打ち回る。大和は地獄の戦艦と化していく。大和が傾いた。タイタニックでおなじみのシーンである。渡哲也の演じる参謀が言う、みんなご苦労だった。そして1人司令室を出る。ここもタイタニック。大和の生き残り(仲代達也)が当時を思い出し映画が始まることからしてタイタニックだった。
 仲代達也の抑えた演技が素晴らしい。GTOの反町隆史ってあんなに演技がうまい俳優だったのか。見直したぞ。中村獅童はさすがだ。目で、それも後半は片目だけでも、演技ができる役者だ。題名は「男たちの大和」だが、「女たちの大和」でもある。女たちが泣かせる、泣かせる。3人の母親たち。どの女優もいい。「死んじゃいけん!」。そうだよ、天皇陛下のために、お国のために、愛する人のために死ぬ?そんなことは絶対にあってはならないのだ。そう訴える映画である。だが、死んでいく。史実だからしようがないが、死ぬことを分かっているから最後の上陸のエピソードは泣ける。
 印象的な台詞が何箇所かあった。その時は覚えていて、ここに書こうと思っているが、書く頃は忘れてしまう。映画館ではメモを取ることもできない。長嶋一茂の台詞にも、反町隆史の台詞にも印象的なのがあったはずだが、すっかり忘れてしまった。残念である。
 「ローレライ」よりも、もちろん、駄作の「亡国のイージス」よりも、断然面白い戦争映画だった。私が今年観た映画の中で、ベスト1が「ALWAYS3丁目の夕日」、ベスト2がこの「男たちの大和/YAMATO」である。珍しく1、2位が邦画という2005年であった。
 岩手日報の時事川柳にあった、「大砲の並んだ夢は巨人に似」。大和のことを詠った川柳のようだ。