子牛飼養管理
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子牛の飼育の仕方、ポイント、管理上の注意について説明します。
 分娩〜2ヶ月 生時28kg〜85kg
 生まれたばかりの子牛には、母牛の初乳を充分に飲ませること。初乳は子牛の必要な養分であり、また母牛の持つ「病気などに打ち勝つ(免疫抗体)を子牛に伝えるとともに胎便を出す働きをもつ。子牛が免疫抗体を積極的に取り入れることができるのは、分娩後3日間と言われているので、充分に初乳を与えること。生後90日ぐらいは、乳だけで子牛の養分は不足することはないが、子牛は生後20〜30日ぐらいで自分から乾草を食べ始めるので、このころが餌付けの好機会である早く餌付けをすると「飼料の採食」→「反芻胃の発達」「採食増加」→「反芻胃の発達」が繰り返され、丈夫な胃袋となり、よい発育が期待されます。個体差があるが生後10日頃から子牛をよく観察して、良質乾草を少しずつ与え(自由採食)子牛の第1胃の発達を促す。
 なお、きれいな水を自由に飲めるようにすること。子牛・母牛がいつでも水を自由に飲めるようにすることは、牛飼いの基本です。生後1週間程度経過したら、母牛と一緒に外に出して運動・日光浴を始めること。最初は1時間程度でやめ、慣れてきたら2時間を最大とする。
※牛舎内は、常に清潔・乾燥させておくこと。子牛が汚れた敷藁等を食べ、それが原因で悪性の下痢を起こしたりします。子牛の下痢はその後の発育に悪影響を与え、成長の遅れを取り戻すには長い時間を必要とする。
※堆肥を出したときは石灰を坪当たり1.5〜3kg散布します。(白痢、胃腸炎予防)
※冬期間寒さのため体重減少、風邪等による下痢が心配されるので牛舎の保温につとめる。
別飼いの開始
 将来(離乳後)に向けて第1胃の発育を促進させるため、”子牛の別飼い”を開始。生後1ヶ月頃から開始。別飼いのはじめとして、モーレットや良質乾草を給与するが母牛飼槽を別にすること。飼槽を別にすることにより子牛の食欲が観測できるので、子牛の体調に合わせて過不足なく給与することが大切である。残食は破棄すること。(残っている餌に新しい餌を加えると、食欲を低下させる原因となる)
管理上の注意
 @初乳はできる限り早く飲ませること。(分娩後1時間以内に与える)
 A牛舎の乾草・清潔に留意すること。
 B子牛の下痢には特に注意すること。(白痢・下痢の場合早めに獣医を呼ぶ)
 C分娩届の提出(10日以内に必ず提出) 
※母牛の乳量はピークは30日頃で以降は減少する。乳量は個体差があるが大体10kg程度と言われている。
※山野乾草と牧乾草の比較:山野草はビタミン・ミネラル等がたくさん含まれている草です。

 2〜3ヶ月 75kg〜110kg(目標体重)
 子牛配合を飼料の中に加える。稲藁も乾草と合わせて給与する。乾草や稲藁等の粗飼料を早期に食い込ませることが、子牛の第1胃の発育を促し、将来の増体重に有利となる。(市場の購買客は、牛の体型から第1胃の発達度合いを推測して、良く発達している子牛を購買します。)
 運動は1日2時間位とする。運動のしすぎは子牛の食欲を低下させることがあるので注意すること。
 なお、今まで与えていなかった飼料を食べさせるときは、少しずつ増やし1週間ぐらいで目標とする量とする。
※飼料の急変は、牛に対して負担となる。胃袋が飼料の変化に対応できず下痢等で食欲低下を起こし、体調を崩す原因となる。
管理上の注意
 @飼料の増量時には子牛の糞の状態に注意する。
 A子牛の下痢等に注意。
 B子牛登記検査
 3〜4ヶ月 110kg〜140kg(目標体重)
 この月齢の子牛は、母乳だけの養分では不充分となる。粗飼料(良質の乾草)、濃厚飼料の給与量を増やす。濃厚飼料はモーレット、子牛配合に加えフスマを与えるようにする。粗飼料の与える種類は乾草・稲藁等であるが、給与量を増やし、子牛の第1胃の発達を促す。
※粗飼料と濃厚飼料の給与バランスに細心の注意を配り子牛の発育にあった量を給与する。(給与バランスが悪いと、過肥状態や子牛の発育が悪くなる。)
飼料給与上ポイント
モーレットは徐々に減らし、子牛配合を増やす。

管理上の注意
 @五種混合ヘモワクチン接種(IBR:BVD:PI-3 RS:アデノウイルス ヘモヒフィルス)
 A子牛登記検査(終了)

※カルシウム剤の添加、赤土(肥沃土は不可:湿ってる状態で)・・・商品名:バイミルク、カルボン、リンカル、かきがら等
 4〜5ヶ月
 母乳の乳量は極めて少なくなり、子牛の要求する養分的にも不足する。しかも、母牛は次の子供を体内に宿している時期なので、離乳の準備となる。離乳するためには、子牛が飼料を充分に食い込める状態が基本となる。飼槽だけでなく、離乳のために母牛と子牛を離すようにする。離乳1週間ぐらい前から母牛の濃厚飼料を減らし、秘乳量を低下させて離乳をスムーズにできるようにする。
 子牛には、粗飼料を2倍に増やし、子牛配合も2倍に増やして与える。逆にモーレットの給与量は減らすようにする。(中止する)

管理上の注意
 雄子牛の去勢時期・・・去勢はできるだけ観血法で行いましょう。(市場売買後の事故発生)

 5〜6ヶ月
 子牛の離乳が完了。市場上場に向けて子牛の体をつくる。子牛の調教を兼ねて引き運動を開始(約30分程度)して、子牛の食い込みを良くする。
※別飼いをいかに早く実施し、粗飼料等の食い込みの良い子牛に育てるかがポイントとなる。
※粗飼料は、牛の飼料の基本で、子牛配合を増やしたからといっても、減らすことはない。
管理上の注意
 尿石症に注意(リンとカルシウムの配合割合)
※尿石症と去勢の関係・・・若齢去勢は尿石症になりやすいので4〜5ヶ月過ぎに。

 6〜7ヶ月
子牛の引き運動の励行・・・子牛の爪の管理(削蹄)。爪の管理が悪い牛は体型が崩れ、増体に影響が出る。
日光浴の励行・・・給与飼料を増量すること。(配合飼料と粗飼料の配合割合に注意)子牛の糞や毛艶に注意。
繁運動の励行は子牛の体型・姿勢を整えるのに効果的である。(子牛の首の上の方が、背線よりやや高めになるよう、鼻先を支柱に固定する。このとき、プラシがけ等手入れを行う。
管理上の注意
 @削蹄の励行
 A子牛の糞に注意
 B繁運動の励行
 C子牛の手入れ(橋角、ブラッシングの励行)・・・角の広がりを防ぎ、きれいな方向に仕向ける。

 7〜8ヶ月(市場出荷)
 市場出荷の時期である。体重の増加を期待して飼料の給与を増やすこと。濃厚飼料と粗飼料のバランスに注意して子牛を飽食させること。増体の遅れ気味な場合は大麦圧ペンを少量加えてもよい。市場出荷の目標体重は雌で245kg、雄(去勢)で270kg以上とする。市場出荷3週間前頃に削蹄をすること。運動・繁ぎ・日光浴は出荷前日まですること。事故には充分注意すること。
※現在の市場出荷体重は雌で270kg、去勢(雄)で300kg以上

管理上の注意
 @ワクチン接種は約1ヶ月前に実施すること。五種混合ヘモワクチン接種(IBR:BVD:PI-3 RS:アデノウイルス ヘモヒフィルス)
 A削蹄の励行
 B子牛の周囲の危険物に注意
 C日光浴の励行
 D繁運動の励行
 E子牛の手入れ